「身を引くという苦渋の決断をした」。石破茂首相が7日、退陣の意向を示した。復興予算の確保などに尽力し、福島県に寄り添う姿勢を示してきた石破氏。県民は、参院選の大敗を受けて自民党内で高まった退陣要求に「党全体の問題」「石破首相一人が責任を負うのは少し違うように思う」などと推し量った。
「実際に被災地を訪れ、復興予算についても熱心に取り組んでいた。石破首相の辞任は素直に残念だ」。東京電力福島第1原発事故により全町避難を余儀なくされた双葉町の男性(75)は、石破氏が首相就任前にも町に来て住民の声を聞いてくれたことを思い起こす。「次の首相にも被災地について真剣に考えてくれることを願う」と期待を込めた。
「(参院選で)自民党が大敗したからといって石破首相が辞める必要はなかったのではないか」と話すのは、会津若松市のパート従業員(48)。いわき市の男性(66)は「選挙結果の責任を取っての辞任ということなのだろうが、透明性のなかった前の政権のつけを食わされているように見える」と党の改革の必要性を強調した。
石破氏は物価高やトランプ米政権の高関税措置など困難に直面する中で国のかじ取りを担ってきた。福島市の団体役員(69)は、米価高騰対策として実施した備蓄米の放出について「根本的な問題解決にはならなかった」と指摘する。
それでも「少数与党でありながら、野党と調整しながら議案を成立させてきた実績は評価したい」とうなずいた。
郡山市の主婦(67)は「石破首相は地道に政策を進めてくれる印象だった。コメの増産にも前向きに取り組もうとしていた。農家や消費者を守ってほしい」と次のリーダーに農業政策の充実を求めた。