来年3月卒業予定の高校生を対象とした企業の採用選考活動が16日解禁された。福島労働局によると、少子化や進学率の上昇を背景に生徒優位の「売り手市場」が依然として続く。少ない人材を奪い合う形となる中、県内各企業では必要とする若い力を見極めようと面接や筆記試験などを本格的に開始した。
福島市のJAふくしま未来本店では1次選考が行われ、高校生9人が緊張した面持ちで学力試験や適性検査、集団面接に臨んだ。後日行われる個人面接を経て、同JAは今月中に内定を出す予定という。
福島労働局によると、7月末時点での来春卒業予定の高校生に対する求人倍率は、2.56倍(前年同期比0.02ポイント減)で、企業の求人数は8546人(同1.3%減)だった。いずれも微減となったが、新型コロナ禍以降は高水準で推移。求人の業種別では製造業が最多の3253人で、建設業1649人、卸小売1094人、医療・福祉631人などと続いた。
同労働局によると、来春卒業予定の高校生のうち、7月末時点で3333人が就職を希望。このうち8割以上を占める2792人が県内での就職を望んでいる。
「1人1社制」課題も
本県をはじめとする多くの都道府県では、高校生が就職活動で応募できる企業が一定期間1社に限られる「1人1社制」のルールが定められている。生徒の学業優先や負担軽減、企業の安定した人材確保を目的とするが、一部では限られた時間で企業を十分に比較できなかったり、就職先とのミスマッチにつながったりすることなどが課題とされている。
当初から複数企業への応募ができるのは秋田、茨城、埼玉、大阪、和歌山、沖縄の1府5県。