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【9月21日付社説】秋の交通安全運動/飲酒運転を許さない社会に

2025/09/21 08:10

 秋の全国交通安全運動がスタートした。30日までの運動期間中、交通ルールの順守や歩行者や高齢者への配慮を心がけるとともに、悲惨な事故を起こさない決意を新たにしていきたい。

 JR郡山駅前の市道で1月22日早朝、大阪府から大学受験に訪れていた女性が軽乗用車にはねられて死亡した。軽乗用車の運転者は、酒気帯び状態で交差点に進入していた。将来ある若者の命が、無責任な飲酒運転によって理不尽に奪われた事故は、全国的にも注目を集めた。

 県警は事故を受け、毎月22日を飲酒運転根絶の取り組みの強化日として、啓発活動などを進めてきた。郡山の事故現場に多くの献花が寄せられた背景には、事故防止を願う確かな思いがあった。県内の飲酒運転による事故は8月末現在で30件、昨年ゼロだった犠牲者が、今年は5人に上る。秋の運動を契機に、改めて飲酒運転を「しない」「させない」社会づくりを推進していかなければならない。

 県内の過去5年の交通事故の統計では、事故の件数は夕暮れが一気に早まる9月から年末にかけて急増する傾向にある。特に、車から歩行者が見えにくい午後4~5時台の薄暮や夜間の時間帯の事故が目立っている。このため、秋の運動では「見えないを 見えるに変える 反射材」をスローガンに掲げている。

 県警が実施した反射材の着用実態調査では、何らかの反射材を身に着けていた歩行者の割合は4割弱にとどまった。近年ではデザイン性に優れた反射効果のあるグッズ、アウトドア用で光を点滅させる器具なども出ている。学校や家庭などで互いに反射材の着用を呼びかけ、薄暮時や夜間の外出時の安全を確保していくことが重要だ。ドライバー側は、早めにライトを点灯するようにしたい。

 来年4月からは、16歳以上の自転車や電動キックボードを運転する人に「交通反則通告制度」、いわゆる青切符が適用される。信号無視や一時不停止、スマートフォンのながら運転などの違反行為が対象となり、違反の内容によって3000円から1万2000円の反則金が科されるようになる。

 秋の運動では、制度が適用される半年前ということもあり、自転車の交通ルールの徹底を図る。自転車は身近な乗り物だが、事故により人を傷つけたり、自分が事故に巻き込まれたりする可能性がある。車道は左側を通行する、飲酒運転は禁止、ヘルメットを着用するなどの「自転車安全利用五則」を確認しておきたい。

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