体内の過剰な免疫反応を抑えるリンパ球の一種「制御性T細胞」を発見し、今年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた坂口志文(しもん)大阪大特任教授(74)を祝福する声が、県内からも上がっている。坂口さんを「師匠」と仰ぐ、いわき市医療センター透析センター外科主任の小柴貴明さん(58)=福島医大災害医療支援講座教授=は「ノーベル賞は坂口先生を信じてきた自分にとっても大切なこと。うれしい」と喜んだ。
小柴さんは2002年から、母校京都大の大学院助教授として制御性T細胞に関する論文を執筆。その際の共著者の一人だった坂口さんから教えを受けたことをきっかけに、「師弟関係」が始まった。食事の場でも「研究の話しかしない」という坂口さんを、小柴さんは「忍耐強く、意志が強い人」と形容する。「やるべきことに没頭するという研究者としてのあるべき姿を教えてくれた。受けた影響は私の中に一生残る」と感謝する。
小柴さんは6日の受賞者発表の後、坂口さんに電話し、受賞を祝福した。「『ありがとう』と答えてくれた。坂口先生は長く受賞の候補者に挙がっていた。その苦悩から解放されたんじゃないかな」とおもんぱかった。