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こころネット、燦HD経営統合「企業価値高め地域貢献」 両社長会見

2025/10/28 07:45

会見するこころネットの菅野社長(左)と燦HDの播島社長

 来年2月1日付での経営統合を予定するこころネット(福島市、東証スタンダード上場)と葬祭業大手の燦(さん)ホールディングス(HD、大阪市、東証プライム上場)は27日、東京都で記者会見し、統合の理由などを説明した。こころネットの菅野孝太郎社長は「企業価値を高めるステップアップで、地域の顧客や株主に貢献できると確信する」と統合の意義を語った。

 相互補完、運営効率化へ

 両社は12月23日に予定する臨時株主総会での承認を得て、株式交換により経営統合する。燦HDがこころネットの株式を100%取得、こころネットが完全子会社となる。出店地域が重複しない両社の相互補完や運営の効率化などで事業規模の拡大を見込む。

 燦HDの播島(はりしま)聡社長は「終活から葬儀後までワンストップで支援し、高齢化社会の課題解決にも貢献する。さらなる安心感と信頼のサービス提供、顧客の葬儀への不安軽減へ十分な情報発信に努め、業界ナンバーワン企業グループを目指したい」と語った。

 統合により、燦HDの会館数は20都道府県の328施設となり、2031年度の出店目標に掲げる550施設に近づく。播島社長は「互助会制度も運営するこころネットは地元で大きな顧客基盤を持ち、将来の安定的な葬儀の件数確保も見込める」と期待した。

 本県には初参入となるが「将来の災害リスクも高まる中、東日本大震災の被害を受けた福島の取り組みを学ばせていただきたい」と述べた。

 菅野社長「持続的成長につなげる」

 こころネットの菅野孝太郎社長は経営統合を見据え「専門性向上や組織基盤の強化、次世代育成を実現し、当社の持続的成長につなげたい」と展望を語った。

 ―経営統合の背景を。
 「近年の葬儀の小規模化や低価格化に加え、異業種からの新規参入などで市場は激しい競争と変革期にある。こうした環境下で、当社単独で将来の成長戦略を描き、最高の企業価値を提供するのは限界があると判断した。経営理念の親和性が高い燦HDとのノウハウの共有や人材交流で事業拡大を加速化する」

 ―統合による顧客や株主の利点は。
 「エンバーミング(遺体の衛生的な長期保存)や(悲しみや喪失感に寄り添う)グリーフケアなどを取り入れ、人材交流によるスキルアップで利用者により高いサービスの提供が可能になる。また株式交換で当社株式の流動性リスクが解消されることから、当社の株主にも大きなメリットになると認識している」

 ―今後の経営戦略は。
 「業界トップをけん引する燦HDが培った管理体制やマネジメントに関する仕組みを当社でもいち早く取り入れ、経営体制の強化や組織運営の効率化を図る。お客さまの満足度のためにも今まで同様に雇用を守り、従業員がさらに成長できるような環境を整えたい」

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