"不信感"強める漁業者 第1原発・汚染雨水の港湾外流出

 

 東京電力福島第1原発の廃炉作業の中でも汚染水対策は一進一退が続き、収束が見通せない。2月、汚染された雨水が港湾外(外洋)に流出していたことを把握しながら公表しなかった問題は東電に対する信頼を失墜させた。

 2月に開かれた県漁連の組合長会議。漁業関係者は東電に対し「なぜ黙っていたのか」「漁業者を甘く見ているのか」と怒りの声を上げた。

 東電が汚染水対策の次なる一手として建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみ上げた地下水を浄化して海に流す計画を示し、県漁連側に理解を求めていた矢先。情報を内部で共有し切れなかった東電の組織体制を問題視し、漁業者は不信感を強めた。

 今回の問題を受け、東電は同原発で測定した放射線関係の全てのデータをホームページで公表し、特に数値変化が大きい場合などには記者会見などで説明するなど情報公開の在り方を改めた。ただ、データは膨大で、県民にいかに素早く、分かりやすく公表できるかが焦点となる。