【首長に聞く】宮本皓一富岡町長 企業誘致、子育て環境も重視

 
「新たなにぎわいづくりに取り組む」と語る宮本町長

 東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、昨年3月10日に一部地域で避難指示が先行解除された富岡町。2023年春を目標とするさらなる避難指示の解除に向け、宮本皓一町長は「帰還促進につながり、移住先に選ばれるまちづくりを進める」と意気込む。

 ―震災から10年を迎えた復興の現状は。
 「帰還困難区域を除く避難指示が解除されてから間もなく4年。町内居住者は少しずつ増え約1600人となった。子どもの声も響き、飲食店や歯科医院、理容店が開店し、にぎわいを感じられるようになった。一方、帰還困難区域は今も時が止まったままだ」

 ―23年春に避難指示が解除される見通しの特定復興再生拠点区域(復興拠点)の再生にどう取り組むのか。
 「暮らしの再生、新たなにぎわいづくり、健康づくりの3本柱を重視している。リフレ富岡の跡地には、復興のシンボルとして新しい健康増進施設の整備を検討している。日用品を購入できる場所も設ける考えだ。桜並木を活用した交流人口の拡大にも取り組む」

 ―復興拠点から外れた地域の避難指示解除の方針が示されていない。
 「政府が繰り返す『たとえ長い年月を要しても解除する』という言葉は賞味期限が過ぎている。帰還困難区域がいつまでも残っていると真の復興を果たすことはできない。解除と再生に向けた速やかな方針の提示を国に求めていく」

 ―次の10年に向けて町の将来像をどう描くのか。
 「雇用、医療福祉、教育、交流、農業の五つがキーワードとなる。今月中に完成する屋内遊び場の地域交流館を活用するなど、子育て環境を充実させる。企業誘致や移住・定住の促進につながる施策を積み重ねながらまちづくりを進める」