経団連会長に29日就任する日本生命保険の筒井義信前会長(71)は、財界トップとして重視する課題に社会保障制度改革を挙げ「財政への信認も向上させていく。渾身の力を込めて取り組む」と述べた。将来世代への責任を果たすため中長期の財政展望を話し合う「税・社会保障一体改革推進会議」(仮称)を政府内に設置するよう働きかけると明らかにした。共同通信などのインタビューに応じた。
立憲民主党など野党がそろって物価高対策で消費税減税を主張しているのに対し、自民党は減税を見送る方針を固めている。筒井氏は「減税は適切ではない。社会保障制度を支える根幹の財源だ」と強調。「税、財政、社会保障の一体改革が本格的に着手をされておらず、(国民の)不安をより増大させている」と指摘した。
筒井氏は、トランプ米政権の高関税政策などで世界の経済秩序が分断の危機にひんしていると懸念を表明。経団連に「グローバルサウス委員会」を設け、アジアやアフリカ、中南米の新興・途上国との関係強化策を検討すると説明した。