【香港共同】遺体を覆ったとみられる黒い袋が次々と運び出された。香港北部の高層住宅群で大規模火災が起きて3日目となった28日。前夜までの激しい炎は見られないが、建物には白い煙がくすぶる。救急隊員は火の手が弱まったのを見計らって、ストレッチャーを手に建物内に駆け込み、捜索を本格化させた。
「安心して暮らせる日は戻るのか」。避難住民の女性は不安げに現場を見詰めた。犠牲者の身元を確認するための写真が保管されている場所には、朝から安否不明者の家族が訪れた。支援者は「涙を浮かべて帰る人もいる。不明者が多く、つらい状況が続きそうだ」と語った。
外で夜を明かす避難住民もいる。昼夜の気温差が大きい季節で、夜は10度台前半にまで冷え込む。ボランティアから冬物の上着を受け取った高齢男性は「(避難生活で)とても役に立つ。ありがたい」と話した。
避難住民は「また同じような火災が起きるのではないか」と肩を落とした。
