中小企業庁が28日公表した価格転嫁の状況に関する9月時点の調査結果によると、中小企業がコスト上昇分を価格に反映できた割合を表す「価格転嫁率」は53・5%だった。前回3月調査の52・4%から小幅に伸び、2021年9月の調査開始以来、最も高かった。ただ全く転嫁できなかった企業の割合は、ほぼ横ばいで、二極化が課題となっている。
今回の調査では、都道府県別の転嫁率を初公表した。発注企業の所在地ごとに集計した転嫁率は島根県が58・6%で最も高く、岩手県が45・5%で最も低かった。中企庁の担当者は「都道府県ごとの状況を知るきっかけにしてほしい」とした。
価格転嫁が必要な中小のうち、一部でも転嫁できた企業は83・2%、うち全額を転嫁できた企業は27・3%。一方で転嫁できなかった企業は15・8%に上り、転嫁どころか引き下げに応じた企業も1・0%あった。いずれも3月調査からほとんど改善していない。
赤沢亮正経済産業相は28日の記者会見で「価格転嫁率は改善傾向にあるが、まだ道半ばだ」と述べた。
