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シンガー・ソングライター、小野サトルさんが死去 享年62 「よこはまチャチャ」でレコード大賞新人賞

2025/09/10 10:22

  • 音楽
小野サトルさん「よこはまチャチャ」

 「よこはまチャチャ」などで知られるシンガー・ソングライターの小野サトルさん(小野さとる、本名 小野覚さん)が、2023年3月24日に肺炎のため亡くなっていたことがわかった。享年62。有限会社ラスト、ラストエンターテインメントレーベル、ラスト音楽出版が10日、発表した。

【写真】2016年…元気にレコーディングする小野サトルさん

 同社は発表で「あまりにも大きな存在であった小野さんとの突然の別れを受け止めることができず、関係者一同は未だ深い悲しみの中にあり、奥様やご家族の同意承諾や心の整理のためファンの方々、旧知の方々に訃報のご報告が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます」とつづった。

 葬儀については「ご遺族の意向により、すでに近親者のみで家族葬にて執り行なわれたそうです」と報告。「生前のご厚面に深く感謝するとともに、謹んでご報告申し上げます」と偲んだ。

 また、「最後のシングル「ショットグラス/あなたが心で生きる限り」を制作・出版いたしましたラストエンターテインメント代表としまして、このままにするわけにはいかないと決心し、ぶしつけではございますが、弔文を残したいと思います」とし、言葉を寄せた。

 1962年6月4日、大分県大分市生まれ。小学校時代、仮面ライダーに憧れ、中学で体操部に所属して活躍しながら、バンドを結成。79年、大分県佐伯市で開かれた新人発掘オーディションに出場。83年、ワーナーパイオニアのプロデューサーの目に留まり「よこはまチャチャ」でデビューし、日本レコード大賞新人賞を受賞した。

【弔文】
私と小野さんとの出会いは40年近く前になります。
新宿区山吹町で四畳半一間の下宿で作詞家を目指し、強烈な西陽の差す部屋でバイトで何とか食いつなぎ営業やアダルト雑誌のコピーを都会の片隅で必死にもがいている頃でした。
隣部屋のOさんから飲みに誘われて中目黒に行きました。
同級生が歌手ということで喜んでついてゆきました。その同級生がなんと小野サトルさんでした。

小野サトルさんといえば、「よこはまチャチャ」でデビュー。日本レコード大賞・有線放送大賞など、歌唱力が評価され、なんと17におよぶ新人賞を総ナメ受賞された方。田舎者の私には衝撃的でした。

ポギーだったかカラオケスナックみたいなところで、当時のアイドルだった水谷さん?ドラマーだった宮崎さんとかお客さんでいたような記憶は定かでないですが、そこでさとるさんが何曲か歌ったのですがあまりの上手さに唖然としたことだけ覚えてます。
その後何度か会って、非常に苦労をしたことを聞きました。
正義感強すぎたのですね。

そして私はTVの世界に入り徹夜続きの仕事や番組の仕事が増え、作詞家としてデビューもしてろくにうちにも帰れないほど、心底多忙になって疎遠となってました。

そして、現在の会社立ち上げたのが1999年、より多忙になりましたが小野さとるさんをもう一度探しました。隣部屋のOさんも鎌倉駅近くで独立してまして、たまに連絡とってましたがわからずでした。
それが10年ほど前に居場所が分かったということで訪ねていきました。
やはり地道に音楽を続けてました。発信する場所が無くて引きこもっている感じでしたね。
でも歌に対する情熱と、生活支えてくれている奥様に愛情と感謝をしっかり感じました。
そこで、歌ってもらおうと決心した曲が「ショットグラス」と「あなたが心で生きる限り」でした。もう大赤字覚悟でした。なにせ歌物は大変なのをよくわかっていましたし、大手に対抗できるほどの販売力もなかったことは目に見えてたからです。
でも私も頑張りたかった。夢を今につなげてくれた人だからです。

「あなたが~」は元々、布施明さんのために書いたものでした。今でもやはり布施さんのために書いたからどうしてもニュアンスが違うのですが、さとるさんがものすごく気にいってくれて、渡辺音楽出版さんからも連絡が途絶えてましたので、思い切ってさとるさんに提供することにしました。
穂口先生も水谷先生も底力見せていただき、さとるさんは体力が落ちているのを頑張ってウォーキングや発声練習してライブに向かって動いたりFMやNHKラジオで同期の風見しんごさんの番組に出させていただき、夜ヒットでの間奏の間のバク天いきなり!とかで盛り上がって、さとるさんの過去の作品をJASRACに登録したり、会員になってもらったりさあこれからという時でした。

さとるさんは持病の糖尿を悪化させてしまいました。そこにコロナです。
それでもさとるさんは、奥様のかなえさまとYouTubeチャンネルを作って頑張ろうとしてたそうです。
さとるさん、飲みすぎだよ。と思ってました。寂しかったのでしょう。プライドもあったと思います。
コロナで弊社も傾きました。みんな傾いたでしょう。喜んだ人なんてこの業界に一人もいなかったでしょう。
そんな中で仕事の話も立ち消えばかりで、そこに入院したということを聞きました。
お見舞いにも行けなくて本当に申し訳なかった。社会のタイミングがさとるさんの復活の大きな見えない壁になってしまいました。
もう一度聞きたかったです。作りかけの「師走」も完成させたかったです。
なので、この音源CDを大赤字でも在庫が完売したよとご報告してかなえさんに少しでも還元、大分のお父さんにも会いに行けるようしたいと思います。また飲みましょう。また歌聞かせてください。

令和7年9月6日
有限会社ラスト ラストエンターテインメント ラスト音楽出版 森田 博

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