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北村匠海・林裕太・綾野剛、「釜山国際映画祭」で“最初”の最優秀俳優賞「3人で受賞できたのがすごい」

2025/09/26 22:56

  • 映画
「第30回釜山国際映画祭」でThe Best Actor Award(最優秀俳優賞)を受賞した『愚か者の身分』林裕太。北村匠海、綾野剛のアクスタを手に授賞式に登壇

 韓国・釜山で17日から開催されていた「第30回釜山国際映画祭」は、26日に最終日を迎え、今年から新設された〈メインコンペティション部門〉の授賞式が行われた。映画『愚か者の身分』で主人公・タクヤを演じた北村匠海、タクヤと共に闇ビジネスに手を染める若者マモルを演じた林裕太、タクヤの兄貴分・梶谷を演じた綾野剛の3人が、同部門に出品された作品の中で最も優れた演技を見せた俳優に贈られる〈The Best Actor Award(最優秀俳優賞)〉をそろって受賞した。

【動画】オープニングセレモニーに出席した北村匠海・林裕太・綾野剛

 授賞式に出席した林は、「率直に3人で受賞できたことが本当にすごい」と感激を表し、「まだ実感がわかないが、僕たちの映画が釜山で評価され、称賛され、それがこうして形になったのがすごくうれしい」と喜びを語った。

 永田琴監督と森井耀プロデューサーが見守る中、花束とトロフィーを受け取った林は、緊張しながらも堂々としたスピーチを披露。「選択肢のない人が愚かなのか、それとも選択肢を持てない環境や世の中が愚かなのか。ただ、この映画で最も大切なのは、生きようとすることは決して愚かな選択ではないということです」と想いを語った。

 さらに「たとえ大きな夢や、何か大きな意義を見出さなくても、自分を支えてくれる誰かがいるなら、ここに生きる意味は大いにあるということだと僕は思っています。それを教えてくれたのがこの映画であり、今日来られなかった北村匠海さん、綾野剛さんです」と続け、「今日のこの特別な瞬間を、この特別な感情を、日本に帰って3人で分かち合いたい」と述べた。林は、日本から持参した北村と綾野のアクリルスタンドを“お守り”として披露し、会場を和ませた。

 北村と綾野は東京から林の晴れ舞台を見守り、北村は「胸を張って行ってきてください」とエールを送った。綾野も「光を失った男、光を諦めた男、そして光を追い続ける男。そのマモル役を演じた裕太くんが輝かしい場所に立つ姿を想像するだけで胸にくる」と祝福。受賞を受けて「3人で1人の感情として受け止めてもらえたことがとてもうれしい」(綾野)とコメントを寄せた。

 審査員からの受賞理由として挙げられたのは「それぞれ個性がありながらも完璧に調和した、この3人の若い俳優たちの演技は、せりふに若々しいエネルギーを吹き込み、観客が登場人物と共に笑い、涙し、成長できる特別な力を示していた」と評価。国際的な舞台で多くの作品を見てきた審査員たちがこのように絶賛したことは、3人の存在感と演技が強い印象を残した証だといえる。

 映画『愚か者の身分』は、第二回大藪春彦新人賞受賞作、西尾潤の同名小説が原作。貧しさから闇ビジネスの世界に足を踏み入れてしまい抜け出せなくなった3人の若者たちの運命と友との絆を描く。彼らの“3日間”の出来事を、3人それぞれの視点が交差させながら描くトリック感のある構成で、若者たちの貧困・世界に侵食される日本・闇ビジネスの深淵など、今多くの人が感じている共感できる社会的テーマを織り込んだ。10月24日より全国公開。

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