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ジュノ、キム・ミンハとの共演は見つめているだけで「以心伝心」 IMF当時の再現方法や作品の魅力も「物語が美しい」【『テプン商事』インタビュー】

2025/10/25 21:00

  • エンタメ総合
Netflixシリーズ『テプン商事』独占配信中(写真提供:スタジオドラゴン)

 2PMのメンバーで俳優としても活動するイ・ジュノが主演する韓国ドラマ『テプン商事(原題:Typhoon Family)』。大ヒット作品『愛の不時着』『涙の女王』『私の夫と結婚して』などで知られるスタジオドラゴンが制作し、動画配信サービス「Netflix」で11日より配信をスタートした同作は、1997年のIMF通貨危機のさなか、経営難の会社「テプン商事」を父親から引き継ぐことになった自由奔放な息子カン・テプン(演:ジュノ)が、大人としての生き方を学びながら、向こう見ずだった青年が新米社長へと成長していく物語。

【写真】ドキッ…!キム・ミンハの肩に寄り添うジュノ

 このたび、カン・テプンを演じるジュノ、「テプン商事」で経理を担当するオ・ミソンを演じるキム・ミンハ、イ・ナチョン監督のインタビューが到着。IMF当時を表現するために努力したことや、演じていく中でのケミ、見どころを語ってもらった。

――『テプン商事』はどのような作品ですか?簡単に紹介をお願いします。

イ・ナチョン監督:『テプン商事』は、1997年のIMF危機を乗り越えていく、テプン商事の社員たちの物語です。これまでの1997年を舞台にした時代劇は、企業の話や国の暗い側面、あるいはロマンスや思い出を呼び起こす話が多かったのに対し、『テプン商事』は、当時のごく普通の人々がどのように働き、どのように困難を克服したのかを、温かく愉快なトーンで描いたドラマです。

――カン・テプンというキャラクターを紹介してください。

ジュノ:カン・テプンというキャラクターを演じることは、私にとって大きな挑戦でした。視聴者の皆さんが、私が描くテプンを見て、「もし本当にこんな人が社会にいたら、友達だったら、家族だったら、どんなにすばらしいだろうか」、「この人がそばにいたら、あの困難な時期もそれほど辛くなかっただろう、大きなエネルギーを与えてくれるメンターになってくれただろう」と感じてくださることを願っていました。

テプンは本当に愛すべきキャラクターだと思います。単純すぎたり、もどかしく思える人もいるかもしれませんが、彼にはあの時代に最も重要だった驚異的な推進力、ひらめくような機知、そしてさまざまな人々をまとめる磁力のような魅力があると思います。個人的にテプンを演じながら、もし私が20代を彼のような精神で生きていたらどうだっただろうかと、正直に考えました。私も激しく、一生懸命生きてきて、何かに没頭したり、壁にぶつかったり、転んだりもしましたが、もしテプンの精神でその時期に臨んでいたら、もっと元気をもらえたのではないかと思います。

――オ・ミソンというキャラクターの魅力は何ですか?

キム・ミンハ:ミソンは愛情深く、風変わりなところもあり、ある意味落ち着いているのに弾けるような魅力もあります。その一方で、自身の強いこだわりも持っています。ミソンのこうした多様な側面をしっかり表現しようと努めました。テプンとミソンは2人とも感情の起伏がとても激しい(一喜一憂する)人物です。「一喜一憂するな」という言葉は通常、否定的に使われますが、私はその姿がとても美しいと感じました。うれしいときに喜び、悲しいときに悲しむ、このような透明で率直な心こそが、実は青春の最も美しい姿ではないかという思いがふと湧きました。ミソンのこの姿に私は非常に魅力を感じ、その誠実で曇りのない心をより多角的に表現しようという思いで撮影に臨みました。

――テプンとミソンにこの2人の俳優をキャスティングした理由は何ですか?

イ・ナチョン監督:ジュノさんが持つ多面的な魅力を、『テプン商事』を通じて見せたいというのが私の個人的な野望でした。実際にジュノ俳優が具現化したテプンというキャラクターは、純粋で、愛らしく、かわいらしく、そして格好良く、撮影・編集をしながら大変満足しています。キム・ミンハさんについては、彼女が最初のセリフを発した瞬間、作家と私が描きたかった当時の空気感を一瞬で呼び起こしたと感じました。このすばらしい俳優たちと共に、韓国ドラマらしいドラマを作れたことは、私にとって大きな意味があります。

――IMF当時の時代考証が非常に優れていると感じます。撮影現場もそうですが、2人の俳優は当時を表現するためにどのような努力をしましたか?

ジュノ:まず、ヘアスタイルや衣装など、見た目の部分に気を遣いました。レザーのセットアップスーツを着たり、ブリーチヘアにも挑戦しました。そして、撮影で使用したセットや美術的な小道具が、その時代を大変綿密に再現してくれていました。そのため、その空間自体が、まるで私が本当に1997年にいるかのような感覚を抱かせてくれました。

キム・ミンハ:外見的な部分では、当時の話し方、ファッション、ヘアスタイルなどを参考にしました。また、私のセリフの中には当時使われていた用語が非常に多かったです。そうした部分を調べて、当時の文化や時代背景を研究しました。その上で、「もし私がミソンだったらどうだっただろうか、どんな言葉を話していただろうか」という点にも集中しました。そして、私も美術などの空間が持つ力が非常に大きかったため、自然とあの時代に溶け込むことができました。

――1997年の空間を再現するためにどのような努力をしましたか?

イ・ナチョン監督:まず、真正性のある歴史考証こそがこのドラマのアイデンティティだと考え、当時の会社員や商社員の方々から幅広く取材を行いました。また、当時実際に商社で使われていた小道具を確保するために、博物館にある品を借りることもありました。当時のオフィス空間をそのまま再現することが最大の目的でしたが、同時に温かく柔らかな雰囲気を与えることにも努めました。さらに、IMF時代に目にした風景をほぼ完全に再現するため、当時の写真が撮影された場所に実際に行き、同じように再現しようと試みました。例えば、当時のロデオ通りや狎鴎亭(アックジョン)、乙支路(ウルチロ)などを再現するために多くの労力を費やしました。

――1997年のIMF時代について個人的な思い出はありますか?

イ・ナチョン監督:当時の私の記憶というよりも、オレンジ族(過度な消費と西洋的なライフスタイルで知られた、90年代の裕福な若者を指す論争的な用語)を含む、商社員の方々など、当時を生きた多くの人々に広範な取材をしてドラマを作りました。興味深かったのは、インタビューした皆さんが当時を語るとき、単に大変だったと言うだけでなく、目がキラキラと輝きながら、当時の服や経験した瞬間について話してくれたことです。困難はあったけれど、皆が一緒に、活気とエネルギーを失わずに乗り越えたという点では、皆が異論がありませんでした。その共同体意識に胸を打たれました。

ジュノ:あの時代は、ロマンと温かさ、そして「情」が溢れていた時期だと思います。私はまだ幼くて社会の雰囲気を完全に理解できませんでしたが、両親は困難な状況の中でも、何とか私たち子どもたちに温かさや情、そして人々が団結する力を見せようと努力していました。子どもたちに未来は明るいということを、自ら示したいと願っていたのを覚えています。絶体絶命の危機を乗り越える韓国人の団結力と底力を、両親を見て子どもの頃に感じました。このドラマの核心も、「人と人が団結する力」ではないかと思います。この部分をどう表現できるかを考えながら撮影に臨みました。

キム・ミンハ:大人たちに当時のことをたくさん尋ねましたが、共通して言われたのは、「あの時は本当に大変で、いろいろなことを経験した、でも本当に良かった」ということでした。この答えの中に、私は演技のキーポイントを見つけられたように思います。暗闇があったからこそ、希望を見つけようとする原動力があったのだと。ドラマの登場人物たちが転んでも立ち上がれる原動力は何だろうか、ということをずっと考え続けました。

――出演してみて、この作品のどのような点に魅力を感じましたか?

ジュノ:まず、温かいながらも現実的な物語を描いていることが、大きな魅力ポイントだと思います。そして、胸がときめき、非常に明るく希望に満ちていて、笑いがこみ上げる一方で、同時に切なく、悲しみも共存する多面的な魅力を持つ台本だと感じたため、この作品に参加したいという思いが非常に強くなりました。現実の私に起こる多くの出来事が、劇中のテプンが経験することと似ていると感じ、言葉では説明しがたい一体感を覚え、カン・テプンという人物にさらに集中することができました。

キム・ミンハ:初めて台本を読んだ時、台本から伝わる「温かさ」に強く惹かれました。そして、本当に物語が「美しい」。あまりに美しくて涙が出たり、物悲しくなったりもしました。そして、このドラマでは、1人も輝かない人物がいません。この点が本当にすばらしいと思い、しっかりと具現化したいという気持ちが大きくなりました。

――演技のケミ(相性)はどうでしたか?

キム・ミンハ:ケミは本当に最高でした。とても楽しかったです。ジュノさんはいつも可能性を開いてくださいます。予想外の演技をしてもすべて受け入れてくださり、より面白いシーンが作れたと思います。そのうちに自然と楽になり、お互いに頼り合い、悩みもたくさん共有しました。こうしたことが積み重なって、最初は考えもしなかったようなシーンがたくさん生まれ、面白かったですし、多くのことを学びました。

ジュノ:2人のキャラクターの性格が正反対なので、そこから生まれるケミがありました。そして不思議なことに、セリフを交わさずにお互いを見つめているだけでも、微妙な呼吸が存在していました。それがとても面白かったです。その面白さを一度感じてからは、アドリブなどで空白の呼吸を埋めようと努めましたし、そのような楽しさがこの作品の魅力の一つだと思います。ミンハさんとの撮影は、「言わずとも通じる(以心伝心)」の相性だったと思います。

――『テプン商事』をオススメするとしたら?

ジュノ:『テプン商事』の物語は大きな力があり、その中のそれぞれのキャラクターがさまざまな魅力を持っています。彼らが一箇所に集まり、目標を達成しようと努力する姿こそが、輝く青春の姿だと思います。このような姿を見て、視聴者の皆さんも過去を思い出し、これから未来をどう生きていくかという道筋を示してくれるドラマだと、あえて考えています。同時に、非常に『スペクタクル』でもあります。大きな思い出と郷愁をもたらしてくれる贈り物のようなドラマだと考えています。楽しくご覧になって、皆が幸せになってくれることを願います。

キム・ミンハ:『テプン商事』の中では、穏やかな風が吹くこともあれば、ものすごい突風が吹き荒れることもあり、さまざまな風が台風のように巻き起こります。その中でさまざまな人物が、美しく、懸命に、そして切実に一歩ずつ成長していく物語が込められています。ドラマをご覧になると、日記を書いたり、お酒を飲みながら自分自身を投影したりするような「しっとりとした時間」がたくさん生まれるのではないでしょうか。年末の寒さの中で、『テプン商事』が温かい毛布のように包み込んでくれることを願っています。本当に面白く、「美しい」という言葉が、この作品を最もよく表現する形容詞だと思います。

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