幼なじみコンビ!故郷・福島へ捧げるデビュー曲「福島行進曲」

 
「古関さんの功績を紹介し、音楽で街を盛り上げたい」と意気込む本間さん。日野屋楽器店には古関に関する写真や資料が展示されている

 作曲家古関裕而がモデルの朝ドラ「エール」で話題を集める古関のレコードデビュー曲「福島行進曲」。福島民友新聞社記者だった作詞家野村俊夫との幼なじみコンビが送り出した曲には、故郷への思いが込められている。古関が学生時代に頻繁に通った福島市の日野屋楽器店の副社長本間梨華さん(34)は「古関の功績を通して街を盛り上げたい」と意気込む。

 1931(昭和6)年に発売され、A面には「福島行進曲」、B面は「福島小夜曲(セレナーデ)」が収録された。古関の自伝では「記念すべきデビュー曲は故郷に捧(ささ)げるつもりであった」とし、「福ビル」「柳並木」など当時の情景が織り込まれた野村の歌詞を選んだ。だが、ヒットはせず、古関は「期待していたほどの成績は上げられなかった」と振り返っている。

 古関はレコード発売を記念して、31年6月15日、日野屋楽器店で楽譜抽選会を開き、ファン20人に直筆の楽譜を贈っている。朝ドラ放送を機に当時を調べている本間さんは「福島の街には古関さんの足跡が多く残る。このつながりを生かし、音楽の力で商店街を活気づけたい」と展望を語る。

 店内には40年に古関と野村、本宮市出身の歌手伊藤久男の「コロムビア三羽がらす」らが来店した際の記念写真を飾り、関連資料を置くなどして、来店者に古関をPRしてきた。

 現在、店は新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業しており、6月1日の営業再開に向けて準備中だ。本間さんは「古関さんもデビュー当時は苦労した。私も負けずに商店街ににぎわいを取り戻したい」と故郷の先人に思いをはせた。