• X
  • facebook
  • line

【3月6日付社説】オンラインカジノ/実効性ある規制強化を急げ

2025/03/06 07:52

 社会全体の違法性への認識の甘さが浮き彫りになった。啓発の強化にとどめることなく、悪質な業者の取り締まりや規制の強化を急ぐ必要がある。

 インターネット上のオンラインカジノで賭博をしたとして賭博容疑で、東京五輪の卓球男子団体銅メダリストが書類送検され、吉本興業の所属タレントが事情聴取された。ほかにもプロ野球選手などの利用が相次いで発覚している。

 日本では競馬や競輪など公営ギャンブル以外の賭けは禁止されている。海外では合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して参加すれば、賭博罪に問われる。

 クレジットカードや仮想通貨などを使い、サイトの決済システムでポイントを購入し、バカラやル

ーレットに賭ける仕組みが一般的だ。コロナ禍での巣ごもり生活、日本語に対応したサイトが急増したことで利用が広がった。警察庁によると、国内利用者は300万人とも推計される。

 著名人などを使った広告で合法をうたうサイトや、初回特典として無料でポイントを付与するサイトが多いことも、誤った認識などを広げている要因だ。政府には、ネット広告の監視強化のほか、広告の掲載禁止、サイトへの接続制限など、実効性の高い対策の検討が求められる。

 スマートフォンなどで時間や場所を選ばず、ゲーム感覚で利用する若者が後を絶たない。民間の調査によると、利用者は20代が最も多く、30代、10代と続くなど、低年齢の傾向が確認されている。

 負けを取り返そうと賭け続け、親などが気づかないまま、未成年者が多額の損失を抱える恐れがある。ギャンブル依存症に陥ると、なかなか抜け出すことができず、生活に支障を来し、家族や周囲の人に影響を及ぼす恐れもある。

 家族や学校などが違法性やギャンブルの危険性を伝えていくことが重要になる。心身などに変化や異常がある場合は、相談窓口や専門の医療機関を利用してほしい。

 警察は、国内の決済代行業者らの摘発を強化し、ポイント購入に使われた口座などから利用者を特定している。昨年の摘発者は過去最多の276人に上ったが、氷山の一角でしかないのは明らかだ。

 交流サイト(SNS)で知り合った人にオンラインカジノを紹介し、収入を得る副業などを仲介している業者も存在する。海外のサイト運営者の取り締まりは難しいとはいえ、国内の決済代行業者の送金を禁じるなど、新たな対策を検討すべきだ。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line