• X
  • facebook
  • line

【3月20日付編集日記】壁

2025/03/20 08:30

  • 有料記事

 ある日、男が自分の名前を思い出せなくなる。自らの名刺に名前を盗まれてしまったらしい。行く先も判然とせぬまま、さまよい歩くうち、さまざまな罪を着せられ、不条理な裁判にかけられることになる  ▼安部公房の「壁―S・カルマ氏の犯罪」。名前と所属を記した名刺が当人より幅をきかせる構図は、現代社会への風刺に違いない。男は身の寄せどころを失った感覚に陥って、最後には無機質な壁となってしまう  ▼「なぜ人は...

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line