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【4月1日付社説】新社会人の君に/話し合って視野を広げよう

2025/04/01 08:10

 物事をどう捉えるかで、その後の行動も気の持ちようも変わってくる。自分自身の思いを話し、相手の話を聞くことで、ものの見方を豊かにしていってほしい。

 多くの若者がきょうから社会人としての生活をスタートさせる。どんな仕事を始めるにしろ、最初はどうしても不安が大きくなるものだ。ひょっとすると、職場の人たちが自分を厳しい目で見ているように感じるかもしれない。しかし、それは多くの場合は誤解だ。

 考えてもみてほしい。今、日本は深刻な人手不足にあえいでいる。多くの会社や組織は、野球チームに例えれば9人そろわないなかで試合をしているようなものだ。チームにいる人たちは、新たな戦力が加わることを心から喜んでいると考えてよいだろう。

 このように相手の立場から考えてみることで、見える世界は大きく変わってくる。

 学校時代は、気の合う人と友人になればいいし、そうでない人との付き合いは避けようと思えば避けることができただろう。仲のよい人ならば、お互いの考えていることを理解するのはそう難しくはなかったかもしれない。

 しかし、仕事ではそうもいかないことがある。職場や取引先は気の合う人ばかりではないし、利害関係もある。こういうときに大切なのは、相手の立場を想像しながら、自分の考えを言葉でしっかりと伝えることだ。

 この春、社会に出る皆さんの多くは「Z世代」と呼ばれている。生まれた時からインターネットがあり、交流サイト(SNS)などに慣れ親しんできた皆さんの世代に対して、上の世代には「よく分からない」と考えている人も多い。逆に、皆さんのなかには上の世代の考えが分からないと感じている人も多いだろう。そうであればなおさら、お互いを知ろうとすることが重要になる。

 近年は若者が就いたばかりの仕事を数年以内に辞めてしまう割合が高まっている。労働時間などの勤務条件ややりたい仕事と違うことなどが理由という。

 仕事や将来に悩んだときにやってみてほしいのは、同じ職場の先輩の話を聞くことだ。多くの先輩は「この仕事に向いていない」と考えたことがあるはずだ。それでも今、この仕事をしているのはなぜなのかを聞いてみれば、皆さんはもう一つ、新たな視点を得ることができる。

 職場にいるのは敵ではない。かけがえのない仲間だ。相手も皆さんのことをそう思っている。心配せずに相談してみてほしい。

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