• X
  • facebook
  • line

【4月6日付社説】春の新聞週間/新生活を充実させる一助に

2025/04/06 08:10

 今日ほど情報が氾濫している時代はない。自ら情報を取捨選択し、吟味することが必要となっている。そのような時代だからこそ、新生活を実りあるものとするために新聞を役立ててほしい。

 新年度に入り、社会人として第一歩を踏み出したり、進学して新たな学生生活を始めたりした人は、希望に胸を膨らませていることだろう。ただ、残念ながら本県や日本、世界はさまざまな問題に直面している。

 本県を巡っては、東京電力福島第1原発の廃炉の困難さが年月とともに切実な問題となっている。日本は、人口減少や社会保障費の増大への対応が必ずしもうまく進んでいない。世界に目を向ければ、ウクライナや中東の戦闘が続いており、トランプ米政権による新たな関税発動など国際社会の分断を加速するような動きもある。

 社会が混迷するなか、間違った情報をつかんでしまえば、自らの歩む道を誤ることにもなりかねない。自らが何を根拠に、どう行動するかを考えるために役立つのが、信じるに足る情報が掲載される新聞だ。

 インターネット、特に交流サイト(SNS)では閲覧履歴に基づき、利用者が好みそうな情報を選んで表示されるようにできている。一方、新聞は幅広いニュースが掲載され、重要性の高いテーマについては専門家の解説を含め、さまざまな見方を紹介している。

 自身と同じような考え方ばかりに接していると、それを否定する意見を遠ざけるようにもなってしまう。これが国内外にみられる深刻な分断の要因の一つとなっているのは否めない。さまざまな意見に触れ、柔軟な思考を保つための情報源を持っておきたい。

 社会情勢に深刻な悪影響を及ぼすようになっているのが、SNSなどで流布されている偽情報だ。根拠のない差別を生んだり、選挙に影響を与えたりすることが懸念されているものの、情報の真偽確認が十分とは言い難い。

 新聞は慎重な裏付けを行ったニュースが掲載される。誤った情報が掲載された場合は訂正記事を出すことで、メディアとしての信頼性を担保している。誤った情報に踊らされないようにするためにも、新聞の情報に触れておくことが重要だ。

 きょうから春の新聞週間だ。県内の大学には新聞の試読コーナーが設けられている。図書館に行けば、さまざまな新聞を手に取ることができる。まずは手元の新聞をじっくりと読み、気になる記事を探してみてはどうだろう。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line