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【4月20日付社説】企業・団体献金/改革への本気度が見えない

2025/04/20 08:05

 どんなに時間を費やしても結論を導き出せないのは、怠慢と言わざるを得ない。

 与野党が3月末までに結論を得るとした企業・団体献金の扱いを巡る議論は期限切れとなり、結論は先送りされた。政治団体を除き禁止を主張する立憲民主党や日本維新の会など野党5党派と、存続を前提とする自民、公明、国民民主3党の見解が対立し、衆院特別委員会での採決に至らなかった。

 自民は当初、献金について「禁止より公開」と掲げ、政党ごとの総額や年間1000万円超の献金をした企業・団体名と金額を公表する案をまとめた。その後、公表対象となるのは党支部の5.6%、金額ベースでも6割弱にとどまることが分かり、批判を浴びた。

 立憲や維新などの禁止法案は、政治団体からの献金を対象から除外した。しかし労働組合などが政治団体を組織する可能性もあり、「抜け穴」と指摘されている。

 存続と禁止で主張が二分したままで、いずれの法案も多数の賛成が得られないことが分かっていながら、期限までに妥協点を見いだそうとする姿勢に最後まで欠けていた。目標としていた昨年末に結論を得られなかったため、期限を再設定したにもかかわらず、また決着を先送りするようでは、政治の信頼回復は到底不可能だ。

 特に自民は献金存続を主張するのであれば、その透明性の確保や不正防止につながる厳格な仕組みを提案し、他党と積極的に協議を重ねるべきだった。党総裁である石破茂首相の指導力の欠如は明らかで、猛省すべきだ。

 現行制度では、個人による献金は認められ、政治家個人、資金管理団体や後援会などへの企業・団体献金は禁止されている。しかし有力議員の後援会などが、企業の役員から事実上の企業献金と捉えられかねない個人献金を受けていたことが最近も発覚している。

 たとえ企業献金を禁じても、個人献金の透明性も高めなければ、政治家との癒着や、政策がゆがめられる可能性は残されたままだ。

 今回の政治改革は、不正の温床を排除することが大前提だ。こうした個人献金を巡る課題も議論する必要がある。

 私費と弁明しているものの、首相が新人議員に商品券を配布するなど、政治家や政党の金権体質に国民の不信感が高まっている。金のかからない政治を実現しなければ、「政治とカネ」を巡る問題はいつまでも解消できない。政治資金の入り口だけでなく、支出についても厳しく検証できる制度を構築しなければならない。

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