乳児をはじめ、ほかの誰かに感染させない対策を徹底することが求められる。
県によると、激しいせきが特徴の「百日ぜき」の感染者数が4月末から今月初めにかけての1週間で前週比6人増の23人で、現行の集計方法となった2018年1月以降で最多となった。全国で流行が続いている。
百日ぜきは風邪の症状から、次第にせきが増える。乳児の場合はけいれんや呼吸発作につながることがある。肺炎や脳症などの合併症を併発するなど重症化しやすく、死亡するケースもある。感染から治癒まで2、3カ月かかる。
感染した際のリスクが高い乳児を守ることが大切だ。感染の経路は飛沫(ひまつ)や接触とされている。最も注意しなければならないのは、風邪のような症状がみられる初期の感染力が強いことだ。普段は乳児と接する機会がない人でも、自分からやほかの人を介して乳児に感染させてしまう恐れがある。
成人が感染した場合は、せきが長く続く。風邪のような症状がある場合には百日ぜきの恐れもある。早期に医療機関を受診してもらいたい。マスクを着用するなど、コロナ禍の時と同様にほかの人への感染を防ぐためのせきエチケットも求められる。
百日ぜきの感染者数は、新型コロナウイルス感染症が流行した20年以降、減少傾向にあったが再び増加に転じている。コロナ禍での感染対策強化によって病原体にさらされる機会が減り免疫力が下がったことや、5類移行後の対策への意識低下が影響しているとの指摘もある。
乳児にとって、百日ぜきは新型コロナと同じように危険な感染症だが、乳児は自ら菌への対策を取ることができない。家庭内で大人から子どもに感染した例がある。保護者や兄弟など同居の家族が、自ら感染しないように注意することが重要だ。
百日ぜきのワクチンは、乳幼児が接種する5種混合ワクチンに含まれており、免疫を付けることができる。初回は生後2カ月から接種が受けられる。流行している現在の状況を踏まえ、未接種の乳児の保護者はできる限り早めの接種を検討すべきだ。
百日ぜきは学校保健安全法で、この病気特有の連続したせきの後に息を吸う際に笛のような音が出るなどの症状がなくなるか、5日間の抗菌治療が終わるまで出席停止とされている。子どもが感染した場合には、ほかの子どもへの感染を防ぐためにも、回復するまで休ませるようにしてほしい。