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【5月20日付社説】創刊130周年/県民の友として真実届ける

2025/05/20 08:20

 福島民友新聞はきょう、1895年5月20日の創刊から130年の節目を迎えた。自由民権運動の指導者、河野広中らによる「福島実業新聞」としての創刊から本日付で4万3369号の紙齢を重ねることができたのは、多くの読者の支えと叱咤(しった)激励があったからにほかならない。ご愛読に心から感謝を申し上げたい。

 本紙の基本姿勢は、2001年の元日の紙面で発表した「民友の誓い」で示した。「公正で品格ある報道、自由で責任ある言論により読者の信頼にこたえる」「人間尊重を第一に、正確な情報を迅速に分かりやすく伝える」「県民の友として生活・文化の向上を追求する」の3カ条だ。

 この誓いにたがうことなく、県民の友として、正確で必要とされる情報を届けるという責任を果たしていきたい。

 読者に寄り添う地元紙として、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興は最重要のテーマだ。第1原発の廃炉や除染土壌の処分などさまざまな問題を抱える。大切にしなければならないのは、それぞれの問題の前進や停滞が、被災などで人生に望まぬ変化を強いられた県民の暮らしにどう影響するかだ。

 一つ一つのニュースが私たち県民にとってどのような意味を持つのかを丁寧に伝えることで、復興をより実のあるものへとするのが本紙の使命だ。

 人口減少についても同様だ。驚異的な速度で人口が減り地方の衰退が懸念されている。県民一人一人や行政がこの危機をどう乗り越えるのか、それを考えるための手掛かりとなる情報や視点を示せるよう力を尽くす。

 インターネットや生成AIの発達により、新聞、地方紙をはじめとする既存メディアの存在価値が低下したかのように言われることがあるが、それは誤りだ。真偽のはっきりしない情報が氾濫する今の時代こそ、記者が自ら情報を集め、それが信用できるかを検討した結果をまとめた新聞の必要性はより高まっていると考えている。

 本紙は戦前、一県一紙の政策によって休刊に追い込まれ、戦後に復刊を果たした歴史がある。太平洋戦争の終結から80年を経てもなお、世界各地で戦闘が続いている。戦禍をこれ以上広げないためには、戦争をやむを得ないとする世論が形成されていくのを許さないことが重要だ。

 平和によって再び紙齢をつなぐことができた本紙は、県民の命と生活を守るため、平和の尊さを訴え続けていく。

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