東日本大震災、東京電力福島第1原発事故直後から本県で復興や廃炉の施策に携わってきた東北経済産業局資源エネルギー環境部長の木野正登さんの連続講座が1日、福島市で始まった。初回は放射性物質の性質や人体への影響について解説し「これまでの研究で福島第1原発事故による健康被害は見られていない」と指摘した。
木野さんは、チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故後は食品の出荷制限をしなかったため、放射性ヨウ素に汚染された牛乳やキノコを取った子どもの甲状腺がん発症率が高まったと説明。一方、福島第1原発事故では直後から食品の出荷を制限したため「内部被ばくが大幅に抑えられた」とした。
木野さんは食べ物や大気中にも放射性物質が含まれているため、日常生活でも一定の被ばくがあるとも指摘した。
連続講座は全5回で9月15日まで。今年3月まで資源エネルギー庁廃炉・汚染水・処理水対策官を務めた木野さんが、次世代に原子力の知識や原発事故の教訓を伝えようと企画した。次回は今月29日、「原子力発電所の仕組み、発電所の種類?」をテーマに開かれる。聴講には事前申し込みが必要。問い合わせは事務局のNPO法人福島台湾経済文化交流協会(電話090・1703・9921)へ。