福島市消防本部が本年度開設した公式インスタグラムで発信している消防士の夜ご飯「消防めし」が好評だ。消防本部に代々伝わる料理や若手職員が新たに考案した料理の写真をアップしている。広報担当の斎藤直樹さん(36)は「出動要請があれば食事中でも出動する。手間暇かけずに作れてかき込めるのが、消防めしの特徴」と話す。
消防本部によると、5月1日のアカウント開設から今月28日までに閲覧された回数は計約13万1657回。フォロワー数は1000人に迫る。
斎藤さんによると、消防めしの発信は全国的に珍しい取り組み。毎週水曜日に、24時間限定公開できる機能「ストーリーズ」に投稿。その後、過去のストーリーズをプロフィル欄にまとめて表示できる機能「ハイライト」に、「福島消防の台所」と題してまとめられ、いつでも見ることができる。
これまでの投稿は「山椒香る本格麻婆丼」や「ラーメン」といった丼物や麺類が多い。現場での活力を養うため、卵黄やニンニクなどスタミナがつく食材の使用が目立つことも特徴の一つだ。投稿は若い女性を中心に好評を得ているという。
消防めしの発信は、若手職員のやる気アップにもつながった。福島消防署の引地莉杏(りあ)さん(24)は「調理が楽しくなった。市民に作ってもらえる料理を目指したい」と意気込む。若手職員が新たなレシピを考案したり、伝統のレシピにアレンジを加えたりするなど料理の幅が広がった。見た目や栄養バランスを考えることも増えた。
消防めし以外の情報発信にも余念はなく、訓練風景やイベント情報なども投稿する。「投稿を見た市民がイベントに来るなど、自己満足で終わらない広報を心がけている」と斎藤さん。引地さんは「見られていると思うと、普段の業務に対する意識も変化した」と力を込める。
現在、消防めしのレシピは公開していないが、斎藤さんは「要望があれば公開を検討したい」とにっこり。今後の動きにも注目が集まる。