福島県内の10~30代の若者でつくる情報発信グループ「ふくしまメッセンジャーズ」は本年度、全国各地で放射線に関する正しい知識を発信する活動を強化する。原発事故による放射線の健康影響に関し、環境省が3月に実施した全国調査では誤解した回答の割合が38.3%に上っており、依然として残る被災地に対する偏見や差別の払拭を目指す。
環境省が31日、放射線に関する正しい情報を発信する事業「ぐぐるプロジェクト」の本年度初会合を東京都内で開き、メッセンジャーズの活動計画を発表した。秋以降に全国8カ所程度のイベントにメンバーを派遣し、同世代の来場者と交流しながら原発事故に起因する遺伝的な影響がないことなどを直接伝える。また中央省庁の仕事を紹介する「こども霞が関見学デー(8月6、7日)」にもブースを出展。福島に興味を持ってもらうクイズ形式のイベントを開催する。
健康影響に関する全国調査は5回目で、2千人を対象に「次世代以降への放射線による健康影響についてどう思うか」を聞いた。健康影響が起こる可能性について「高い」と回答した割合は33%、「非常に高い」が5.3%だった。一方、起こる可能性が「極めて低い」「低い」と回答、正しい知識を持つ人の割合は61.7%だった。
ぐぐるプロジェクトは2025年度までに正しい知識を持つ人の割合を80%に増やす目標を掲げる。メッセンジャーズの活動を支えるサポーター第1号で俳優の箭内夢菜さん=郡山市出身=は「全国の同世代に届くよう精いっぱい応援する」と述べた。ぐぐるプロジェクトは21年度にスタートし、本年度が活動の最終年度となる。