福島県は本年度、犯罪被害に関する相談や支援をワンストップで行う枠組みの整備に着手する。現在は県や市町村、県警など関係機関ごとに被害者の相談対応や支援が行われており、適切な支援を受けられない可能性や被害の説明を繰り返すことによる心理的負担が指摘されていた。県は専門のコーディネーターを配置して対応の一本化を図り、被害者が十分な支援を受けられる環境づくりを目指す。
犯罪被害者の支援に取り組む公益社団法人ふくしま被害者支援センター内に、新たに支援機関の調整役となる「犯罪被害者等支援コーディネーター」を配置。複数の機関による支援が必要となった場合にコーディネーターが被害者の情報を集約し、関係する支援機関と連携し支援計画をまとめるなど、必要な支援を提供できるようにする。
犯罪被害者への支援は医療費、生活費といった経済的な支援や安全な生活の確保、カウンセリングなど多岐にわたる。支援機関も法テラスや児童相談所、医療機関など種類が多く、苦しい状況に置かれた被害者が自らが支援先を探す必要があるほか、相談のたびに被害の説明が必要となり心理的な負担が「二次的被害」につながるとの指摘もあった。受けられる支援が分かりづらく、必要な支援にたどり着けないことも課題だった。
警察庁の有識者検討会は2023年、こうした状況が全国的な課題だとして都道府県を中核としたワンストップサービスの仕組みや設置方法などをまとめた手引を作成し、全国に設置を促していた。
犯罪被害者に対する支援を巡っては、県内59市町村のうち41市町村が犯罪被害者支援に関する条例を制定、50市町村には見舞金などの制度がある。ただ県内でも受けられる支援に地域差があり、県はワンストップの支援体制構築に合わせてこうした対応が未整備の市町村にも支援体制強化を呼びかける方針だ。県は「被害者がどこに相談しても途切れのない支援が受けられる体制を整えていく」(共生社会・女性活躍推進課)としている。