浪江町と葛尾村を結ぶ県道浪江三春線の小出谷(こでや)工区(延長5.5キロ)のバイパス整備事業で、県は27日、トンネルの建設工事に着手した。開通時期は未定。トンネル2本と橋1本を整備するバイパス化により、安全な交通の確保や、中通りと浜通りの往来の利便性向上が期待される。
同県道は浪江町と三春町を結ぶ延長41.3キロの生活幹線道路で、葛尾村の中心部を通り、南相馬市や常磐道浪江インターチェンジへの交通経路となっている。しかし、浪江町と葛尾村の一部区間では道幅が狭い上、カーブの見通しも悪く、擦れ違いが困難な場所が点在していた。
葛尾村の産業団地に企業誘致が進む一方、浪江町には福島国際研究教育機構(エフレイ)の立地を受けて交通量の増加が予想されることから、周辺自治体でつくる改良期成同盟会でバイパス化を求めていた。総事業費は約290億円。
着工式が同日、同村で行われ、佐藤宏隆副知事が式辞を述べた。篠木弘村長は「村にとっては悲願の道路で、利便性向上と関係人口の拡大、豊かな地域づくりにつながる未来への希望の道になると期待している」と語り、吉田栄光浪江町長が「将来の広域連携へ必要不可欠で、次の時代を担っていく大きな道路だ」と期待した。関係者がくわ入れし、工事の安全を願った。