日東紡(福島市)は29日、ガラス糸で織られたガラスクロスの生産増強のため、同市佐倉下の福島事業センター敷地内(旧福島第2工場)に新工場棟を増築すると発表した。近年高まりを見せるAI(人工知能)サーバー市場の需要への対応が目的で、生産設備の増設により、ガラスクロスの大幅な増産が見込まれる。投資額は約150億円で、生産開始時期は2027年1~3月期を計画している。
同社によると、AI技術の急速な進化と普及により、高速かつ大容量の通信に対応するAIサーバー市場が拡大。使用されるガラスクロス製品の需要が急増したため、新工場棟の整備でAIサーバーの高速通信に必要な電子回路基板に使われる「低誘電ガラスクロス」や、熱膨張や反りに強い「Tガラスクロス」の生産を強化する。
今回の増強を全て最先端Tガラスクロスの生産に充てた場合、現在の3倍程度の増産が可能になるという。新工場棟の稼働で、現在旧第2工場で雇用する従業員の2割程度の雇用増を目指している。
新工場棟は鉄骨造り地上2階建てで、延べ床面積は約1万7200平方メートル。今年10月の着工、来年12月の完成を見込んでいる。
設備投資に当たり、経済産業大臣の認定を受けて最大約24億円の助成金が交付される見込み。県の産業活性化企業立地促進補助金の採択も受けている。