今回も、夏に多く発生する熱中症がテーマです。環境省は、熱中症の危険性の「気づき」を促すものとして、全国の暑さ指数情報を発表しています。暑さ指数や熱中症警戒情報などについて、環境省の資料を基にお話しします。
1.暑さ指数(WBGT)
WBGTは、Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称で、熱中症を予防することを目的に、1954年にアメリカで提案された指標です。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。気温に加え、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、
①湿度
②日射、輻射(物質が熱を放出すること)など周辺の熱環境
③気温
の3つを取り入れた指標です。
従来の乾球温度計(通常の温度計)に比べて、太陽光や路面からの輻射熱による温度の上昇や湿度による冷却熱の影響をより正確に反映できるもので、熱中症発生の危険性予測に役立ちます。各都道府県の暑さ指数データが環境省の「熱中症予防情報サイト」で確認でき、毎日更新されます。暑さ指数が28を超えると熱中症にかかる人が急増する統計が出ています。
2.熱中症警戒情報(熱中症警戒アラート)
暑さ指数情報提供地点のいずれかで、翌日または当日の最高暑さ指数が33を超える予測の場合、熱中症警戒アラートが発表されます。
・熱中症警戒アラートが発表された地域では、熱中症による健康被害が生ずるおそれがあるので、他人事と考えずに、暑さから自分の身を守りましょう。
・まずは、室内などのエアコン等により涼しい環境で過ごしましょう。
・その上で、こまめな休憩や水分補給・塩分補給をしましょう。
・高齢者、乳幼児は熱中症にかかりやすいので注意し、周囲の人にも声掛けをしましょう。
・身近な場所での暑さ指数を確認し、涼しい環境以外では、運動などを中止しましょう。
・熱中症対策を積極的にとりやすい環境づくりをしましょう。
・管理者がいる場所やイベントなどについては、暑さ指数などを実測の上、適切な熱中症対策が取れているかどうかを責任者が確認することが必要です。
3.熱中症特別警戒情報(熱中症特別警戒アラート)
都道府県内の、すべての暑さ指数情報提供地点で、翌日の最高暑さ指数が35(予測値)に達する場合に発表されます。都道府県の枠を超えて暑い状況が想定されるので、近隣の都道府県でも注意が必要です。
自分で熱中症予防をすることが基本ですが、自分で予防行動をとることが難しい場合もあるので、家族や周囲の人々による見守りや声かけなどが重要です。自助を原則として、個々人が最大限の予防行動をとるとともに、共助や公助として、個々人が最大限の予防行動を実践できるように、国や地方公共団体、事業者などが支援できるようにしなければなりません。
4.熱中症警戒アラート等配信サービス(無料)
熱中症特別警戒アラートと熱中症警戒アラートの情報をメールで配信するサービスがあり、無料で利用することができます(通信料は利用者負担)。受信したい発表区域を選択して、いくつでも登録できます。1日2回、登録した区域で熱中症警戒アラートが発表された時、また1日1回、全国いずれかの都道府県で熱中症特別警戒情報が発表された時、速やかにメールで情報を受け取れます。詳しくは環境省の「熱中症予防情報サイト」をご参照ください。
5.車内環境
子どもを車内に絶対に取り残すことがないように最大限の注意が必要です。子どもは体に熱がこもりやすく、体温調節機能が未発達です。そのため、車内にとり残された子どもが熱中症にかかるケースが発生し、死亡した例もあります。たとえ数分であっても、比較的過ごしやすい時期でも、車内に子どもを残すことは、大変危険です。
日本自動車連盟(JAF)のテストによると、最高気温が27度程度の比較的過ごしやすい気候でも、日が差すと車内温度は約48度、ダッシュボードは65度を超える高温となります。
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次回も熱中症についてお話しします。