物理学者の寺田寅彦は、俳人でもあった。彼が詠んだ句に次の作品がある。粟(あわ)一粒秋三界を蔵しけり―。ほんの小さな一粒の粟が、生も死も包み込む大きな世界を抱え持っているといった意味になる。粟に託した命の賛歌といってもいい ▼この句を収めた単文集に、こんな一節がある。「宇宙の秘密が知りたくなった、と思うと、いつのまにか自分の手は一塊の土くれをつかんでいた」。土の分子の中から星や太陽などが生まれ、...
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