国内最大級の断層の一つで、茨城県北部から福島県にかけて伸びる「棚倉断層帯」で約1600万年前以降、右横ずれ運動が発生したことを茨城大基礎自然科学野の細井淳助教らの研究チームが突き止めた。棚倉断層帯は1720万~1660万年前ごろ、日本海拡大に伴い左横ずれ運動をしていたとされる。研究チームは本州と伊豆などの島々の衝突により右横ずれに転じた可能性があるとみている。
研究チームの調査で、断層面上に水平にずれた痕跡を示す傷が残っていたことや、運動方向を決定付ける特徴的な粒子の配列などが確認されたことから、右横ずれ運動を起こしたと判断した。今回の研究結果は、日本列島の地形や地質構造が形成された歴史を解き明かすための手掛かりになるという。研究チームは結果を盛り込んだ地質図の整備を進めており、土木建設や防災・減災対策、観光などへの活用が期待される。
細井氏は「当時の断層がどのような動きをしていたのか分かっていないことも多い。研究結果が解明のきっかけになれば」と語った。
研究結果は国際誌「プログレス・イン・アース・アンド・プラネタリー・サイエンス」に掲載された。