電気通信工事などを手がけるイガラシ綜業(茨城県日立市)は、浪江町に水素を燃料とするドローンの研究開発拠点「福島浪江研究所」を新設した。水素を活用したまちづくりを進める町や、町内の水素関連事業者、福島水素エネルギー研究フィールドとの連携も視野に入れ、道路や橋の設備点検用の高性能な水素ドローンの開発を目指す。25日に完成式を行い、来年から本格稼働を予定している。
常磐道浪江インターチェンジ(IC)近くの約7600平方メートルに事務所、屋内飛行の実験棟、作業棟の3棟を建設。敷地には舗装路と未舗装路の実験スペースも設けた。同社は常磐道の保守点検業務を担っており、将来は道路保全に関わる営業所機能も置く方針だ。
水素を燃料とするドローンは従来のバッテリー式と比べて軽量で、より多くのエネルギーを搭載できるのが特長だ。このため長時間の飛行が可能で、産業用として期待されている。同社は高速道路のトンネルや橋の点検を人手から機械化に転換するため、研究所で小型エックス線を搭載したドローンの開発を進める。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、同社は町内で太陽光発電の工事に携わったことなどから、復興への地域貢献も目的に浪江町への進出を決めた。国の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用して整備し、地元から5~10人の雇用を予定する。
同社は茨城県で子ども向けのドローンの組み立てや操縦体験イベントなども開いている。町内でも地域に根差した形で、子ども向けの教育プログラムやイベントの開催を計画している。