第78回全日本合唱コンクール全国大会中学校・高校部門が25日、富山市のオーバード・ホールで開幕した。初日は高校部門が行われ、Aグループ(6人以上32人以下)に出場した安積黎明が4大会ぶり38度目、Bグループ(33人以上)に出場した郡山が2大会ぶり10度目の金賞にそれぞれ輝いた。
大会は全日本合唱連盟などの主催。A、Bの両グループに全国から計30団体が出場した。日本一にあたる文部科学大臣賞を受賞したのは、Aグループが国府台(こうのだい)女子学院(千葉県)、Bグループが浦和第一女子(埼玉県)だった。
26日は中学校部門が行われる。本県からは混声合唱の部に郡山一、同声合唱の部に郡山五、二本松一、郡山七の計4校が出場する。
繊細な表現、学びの成果 安積黎明
安積黎明は早世の詩人の悔しさや人生観が詰まった難曲を、繊細な表現力で歌い上げた。紅林愛美部長(3年)は「『結果よりもいい演奏を』という思いを評価してもらえた」とはにかんだ。
自由曲は、作曲家鈴木輝昭さんから委嘱された「太陽の娘~女声合唱とピアノのために~」(左川ちか作詩)。詩には、左川さんの理想の女性像や男尊女卑に対する思いが宿る。部員は詩の意味を理解するため、歌詞を書写したり左川さんの人生をたどるなどしたりして大会に臨み、学びの成果を高らかに歌い上げた。
紅林部長は「明るく個性豊かな部員がたくさんいるのが私たちの色。一人一人の色を消さずに歌い切れた」と満面の笑みで話した。
磨き上げた音、感動共有 郡山
郡山のハーモニーは緻密(ちみつ)な音を重ね合わせて生み出される。岩崎友香部長(3年)は「お客さんと感動を共有できる演奏ができた」と達成感をにじませた。
自由曲の「混声合唱組曲『五つの願い』から『空に小鳥がいなくなった日』」(谷川俊太郎作詩、三善晃作曲)は、環境破壊への警鐘を鳴らす内容。複雑なハーモニーで作られており、顧問の浜崎晋教諭によると「楽譜通りの音を出すことが大変」という楽曲だ。
部員はそれぞれ主体的に詩を解釈して出したい音色の構成を磨き上げ、表現したい世界観を全員で共有した。大舞台での演奏を終えた岩崎部長は「今までやってきたことが形となって本当にうれしい」と声を弾ませた。
