16日午前6時25分ごろ、喜多方市松山町鳥見山字上堰下の住宅近くに設置した箱わなにクマ1頭が入っていると、付近の住民から市に通報があった。市は、職員らが現場でクマを確認した上で午前8時17分、自治体判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」を実施、このクマを駆除した。市によると、緊急銃猟による駆除は県内で初めて。けが人はいなかった。
市によると、駆除したクマは雄の成獣で体長85センチ。現場付近は保育園や複数の病院が立ち並び、住宅も点在する地域で、14日ごろから付近の柿の木などで目撃情報が相次いでいた。市は15日午後2時ごろ、住宅から200メートル以内の場所に2基の箱わなを設置したが、その後もクマは付近から動く様子はなかったという。
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16日は市職員が箱わな内にいるクマを確認した後、環境省の指針に基づき午前7時20分ごろ、周辺の交通規制を開始するとともに、緊急銃猟の実施に向けて周辺住民に注意喚起した。その上で、遠藤忠一市長が同8時15分ごろに発砲を許可、地元猟友会のメンバーが1発発砲した。駆除したクマは周辺で目撃されていたクマと同一とみられるが、市は念のため、同じ場所に再度箱わなを設置した。
市によると、住宅から200メートル以内の場所で銃猟を用いて駆除する場合には、緊急銃猟に基づく必要がある。14日は花火による追い払いを実施したものの効果がなく、再び花火を使用した場合、クマの経路が読めないことから、クマが日常生活圏に侵入する恐れがあり、緊急性が高い―などと判断、緊急銃猟の実施要件を満たすとした。
遠藤市長は福島民友新聞社の取材に「制度に基づき、適切に対応した」と述べた。
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緊急銃猟 農地や河川敷、建物内など、人の日常生活圏に「危険鳥獣」が出没した場合、安全を確保した上で、市町村の判断で緊急的に銃猟を可能とする制度。「危険鳥獣」は政令で、ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシの3種と定めた。環境省は7月に公表した指針で、市町村に対し、平時からの体制確保を推奨している。緊急銃猟で建物などに損失が出た場合、市町村長が被害者に損失を補償し、人身事故の場合は、国家賠償法での対応を想定しているとした。
