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【海水検査】 県「異常な変化なし」 外洋での濃度上昇監視

06/11 10:00

【海水検査】 県「異常な変化なし」 外洋での濃度上昇監視

 東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水問題を受け、県は昨年6月から独自に第1原発港湾外(外洋)で採取した海水の放射性物質検査を実施している。今年3月までの傾向として、放射性トリチウム(三重水素)や放射性セシウムなどの放射性物質の濃度は原発事故前と比べて高い数値となっている。

 海水の採取場所は6地点で、昨年6月から今年3月までに測定した濃度は【表】の通り。最大値は、放射性セシウムが昨年6月に5、6号機北側の北放水口付近で計測した1リットル当たり7.4ベクレル(原発事故前の最大値は1リットル当たり0.003ベクレル)。トリチウムは原発港湾出口の取水口付近で同10月に採取した同6.2ベクレル(同2.9ベクレル)、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質も同月に取水口付近で同1.7ベクレル(同0.05ベクレル)が検出された。

 県は、事故前に年4回実施していた海水分析の結果と比較し「異常な変化は確認されていない」としながらも「濃度の上昇は明らかで、事故後に原発構内から流出した汚染水が影響した」と分析している。

 事故前より濃度は上昇、「トレンチ汚染水」影響か 

 東京電力福島第1原発の港湾外の海水に含まれる放射性物質の濃度が事故前と比べて上昇している原因について、県は「事故直後のトレンチ(地下道)から漏れた汚染水の影響」とみている。

 2011(平成23)年3月の事故直後は、護岸周辺にある電源ケーブル用の地下道(トレンチ)から極めて高濃度の汚染水が漏れ、海に流出した。構内の海側敷地の地中に染み込んでいるとみられ、地下水の流れにより、今後も海に流出する恐れもある。国、東電は今月2日に着工した凍土遮水壁など汚染水問題の抜本策に乗り出したが、県は「効果を確認しながら十分な外洋への流出防止対策を講じてほしい」と求めている。

 漁業者「海は大丈夫という対策を」

 「苦渋の決断」として建屋に流れ込む前の地下水の海洋放出を容認した漁業者は、推移を注視している。放出が始まった際、矢吹正一いわき市漁協組合長は「断腸の思いで容認した。基準をしっかり守り、風評被害についても海は大丈夫なんだと思ってもらえるような対策を」と求めた。

 まだ計画が始まったばかりで実感がない漁業者もいる。同市の60代の漁業者は「計画が始まったといっても、今までと何も変わらない。東電はしっかりと汚染水を減らして、自分たちは本格操業へ頑張るだけ」と話した。

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