自然の放射線が多い鉱山や炭鉱での労働者、航空機の乗務員、原発で作業される方、医師や看護師・放射線技師など、放射線に仕事上で接する場合は、それを職業被ばくといって、これ以上放射線を浴びてはいけないという「限度」が法律に定められています。例えば1年間に50ミリシーベルト以下、かつ5年間に100ミリシーベルト以下といった具合です。
その一方、患者さんとして検査や治療のために放射線を受ける医療被ばくの場合、放射線の量の「限度」について、法律上の決まりはありません。つまり、CTやレントゲンといった検査について、1年間で受けられる回数の制限は法律上何もありません。検査や治療のために必要かどうかだけが考慮されます。
放射線を用いた検査や治療は、正確な診断と十分な治療を行う上で必要不可欠なものです。その一方で、医療での放射線の利用は、世界各国で毎年増加し、日本は世界的に見ても医療で用いられる放射線の量が非常に多い国です。医療上の検査や治療で用いられる放射線の量に限度がないからこそ、医療者と患者さんが、放射線を用いた検査や治療をする・しないのメリット、デメリットを相談し、最適な道を見つけていくことが重要です。