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【子育て応援隊】備えて安心、知っておきたい「マネープラン」

03/25 13:30

「家庭を持ったらお金のことを話すのは大切」と、子育て世代に向けて呼びかけるFPの志甫さん

ファイナンシャルプランナー
   志甫 真由美さんがアドバイス

 子どもの進学や、住宅問題、自分たちの老後を見据えた貯蓄など、子育て世代はお金のことを考える機会も多くなります。家族が安心して暮らしていくために知っておきたいポイントを紹介します。
 
 これからの支出見通しをつける

 「家庭を持ったら、お金のことを話すことは大切です」。今回お話を伺った福島市のファイナンシャルプランナー(FP)の志甫真由美さん(しほFPオフィス)が、言葉に力を込めます。ファイナンシャルプランナーに相談というと、なんだか敷居が高そうなイメージがありますが、志甫さんの事務所には育児休業中の人や育休から職場復帰を控える人などの子育て世代も訪れ、住宅購入や資産運用、家計管理などのアドバイスを受けています。

 志甫さんによると、まず大切なのは、自分たち家族のライフプランを立てること。家庭の収入を把握し、教育費は子ども1人当たりいくら必要か、住宅はどうするのか、老後の費用は―など、将来の支出の見通しをつけていきます。
 
 児童手当をため大学費用に使う
 
 たとえば、子ども1人が私立幼稚園、公立の小中高校、私立文系の大学に進んだ場合、必要とされる教育費はおよそ1088万円です。毎月の必要額を細かく見ていくと、小学校は塾や給食などで約3万円、中学高校は4~4・5万円ほど。大学の年間授業料の目安は文系が約100万円、理系は約130万円、医科歯科系は約400万円。このほか入学金が20~100万円、1人暮らしをする場合は毎月7~10万円の仕送りが加わります。

 高校までの教育費は給料から払い、高額な大学の費用は貯蓄から支出するのが理想的で、「高校卒業までに大学の費用をためておくと安心です」と志甫さん。「最低でも児童手当をためてください。全部で200万円くらいになります。不足分は奨学金(300万円ぐらい)を検討するといいでしょう」と助言します。

 奨学金を予定している場合は注意が必要です。奨学金は所得が高いと対象にならない場合があるからです。昔は夫だけが働いている家庭が多数でしたが、今は共働きで世帯収入が上がっています。子どもを持つ年齢が上がったことで親の給与も高くなり、奨学金の対象となる所得から外れてしまうケースが出てきます。「自分は奨学金で大学へ行ったから、子どもも同じように」と考えていると、慌てることがあるかもしれません。
 
 住宅のローンは返せる額見極め
 
 「人生で最大の買い物」とも言われるほど高額なのが住宅です。「住宅金融支援機構2021年度フラット35利用者調査(その他地域平均)」によると、住宅購入費は、戸建て建て売りが2905万円、土地と注文住宅で3980万円でした。現在は価格が上昇しています。
 住宅は購入後も固定資産税や下水道税などがかかり、建てて20年ほど経過すると修繕費も必要になります。志甫さんは「今はローンが借りやすいからこそ『自分で返せる金額』を設定してください。住宅ローンを払い、貯蓄をして、教育費を出せるのか。このことを考えることがとても大切です。このうえで住宅購入費を考えれば、子どもが高校に入るころに住宅ローンが払えなくなる、というケースを避けることができます」。

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 4項目に分けて家計を管理する
 
 家計はどう管理していますか? 効率的にお金を管理するためには、大きく4項目に分けて考えることがおすすめです。〈1〉日々使うお金(食費、家賃、ローン、光熱費など)〈2〉予備費(医療費、災害時の備え)〈3〉数年後に使うことが決まっているお金(車購入、住宅改修など)〈4〉当面使う予定のないお金(教育費、老後費用、住宅購入費など)。

 当面使う予定のないお金の中から、教育費は新NISA、老後費用はiDeCo、などと時間をかけて資産形成してもよいでしょう。「お金を育てるためには時間がかかります。すぐにもうかる話はありません」と志甫さん。運用=貯蓄と考え、若いうちから新NISAなどで資産形成し、お金がたまったら家を建てる、という方法もあります。ただし運用は資産が増える可能性もありますが、元本割れする可能性もあります。
 
 社会保障制度の正しい情報大切

 志甫さんが子育て世代に知ってほしいと考えるポイントは、今働いて受け取っている給料には現在の生活費と老後に必要なお金が混ざっているということです。そして、「社会保障制度を知ってほしい」とも感じています。

 出産で退職せず育児休業制度を使う、配偶者の扶養内で働くと自分の年金が増えないので、配偶者控除は考えずに社会保険に入って働くなど、正しい情報を入手することがとても大切です。
 
 南相馬市、楽しい冊子で制度紹介

 ライフプランを考えることは、家族の将来のためにとても大切なことです。南相馬市は2021年度から、市の子育て支援策などをひとまとめにした「ライフプラン応援」のための冊子を作って配布しています。

 子育てに関係する施策を行っている保健、住宅、教育などの部署が連携した取り組みで、総括しているこども家庭課の担当者によると、行政の子育て支援情報を正しく受け取ることができず支援を受ける機会を逃す人を減らすことや、子育てへの漠然とした不安を軽減してもらうため支援施策を知ってもらうことが事業の目的です。

 同市のデザイン会社が製作に加わり、イラストを多用し分かりやすく、楽しい雰囲気の冊子を毎年度発行し、オンラインでも公開しています。

 本年度は遊びながら支援が分かるようにと、「かるた」形式の冊子を発行しました。「だいじょうぶ! しんぱいないよ いりょうひは」「いえたてる? あきやをさがす? まいほーむ」「るんるんと いえからかよう きゃんぱすらいふ」などの12の札の裏に市の施策が書いてあります。

 市内の小学校で授業に使われたほか、市外からもユニークな取り組みとして注目されました。

 同市は新年度、かるたではない新たな冊子を配布します。市の担当者は「新たな切り口で情報発信していきたい」と話しています。

240325kosodate7013.jpg写真=南相馬市が本年度作製した「ライフプラン応援かるた」。新年度は新たな冊子が発行されます

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