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【新まち食堂物語】夢街道 味しるべ みつわ亭・西郷村 また食べたい素朴な味

09/08 10:25

  • 動画付き
店の前に立つ(左から)保田信次さん、妻英子さん、長男大輔さん。約50年にわたり創業当時の味を守り続けている(永山能久撮影)
白河ラーメンと煮込みカツ丼の「みつわスペシャル」は平日限定の人気のセット。秘伝のたれが絡む焼き肉定食(奥)は絶品

 西郷村米字西原の国道289号沿いに、地元から愛されている食堂がある。全国に知られる「白河ラーメン」が味わえるその店の名は「夢街道 味しるべ みつわ亭」。店主の保田信次さん(72)一家が作るラーメンを求めて、多くの常連客がのれんをくぐる。

 保田さんは「お客さんが『また食べたいな』と思ってもらえるような素朴な味を提供したい」とこだわりを語る。しょうゆベースのスープには豚骨や鶏がら、魚介などの食材を扱う。だが脂身は少なめで、あっさりとした味わいが特徴だ。スープに絡む麺は手打ちの縮れ麺。麺を作る上で、小麦粉に対する水分量を吟味し、もちもちとした食感に仕上げている。長男の大輔さん(41)と共に作るラーメンは絶品だ。

 ラーメンとカツ丼の「みつわスペシャル」は平日限定の人気のセット。注文が入ってから揚げるカツは、卵とじの煮込みと、ソースの2種類から選べる。

 安さに秘密あり

 ほかのメニューに目を向けると、物価高騰の時代に、財布に優しい値段が並ぶ。ラーメン1杯が650円。保田さんは「仕入れ値が高いブランド産品は、あえて使わない。普段食べているような食材を、おいしく味付けするだけ」と安さの秘密を語る。焼き肉定食が、そのこだわりを象徴する。”普通の”豚ロースを秘伝のたれで焼き上げる。絶妙な焼き加減で肉はしっとりとやわらかい。ニンニクが効いたしょうゆのたれが白米に合う。「普通の肉でもおいしく出すのも一つの技術だよ」と保田さん。料理人のプライドが表れる。

 現在は保田さんと妻の英子さん(71)、大輔さん、大輔さんの妻あゆみさん(37)の4人で店を切り盛りする。始まりは、とある女性との出会いがきっかけだった。入院先の病院で知り合った故・田村照子さんと保田さんの2人で創業した。

 田村さんには子どもがおらず、将来の行く末を案じた。保田さんは田村さんを母のように慕っていた。まだ23歳だったが、田村さんと一緒に人生の道しるべを立てようと、1976年頃に白河市道場小路でラーメン店を開業した。昭和後半から平成初期にかけて、市中心部の食堂は出前で繁盛していた。しかし田村さんが年齢を重ねていくとともに、バイクで昼食を届けるスタイルは身が持たなくなった。

 もうすぐ半世紀

 出前から来店中心の店に切り替えようと、96年11月に現在の場所に店を構えた。当時は西郷村と下郷町を結ぶ甲子道路が開通されておらず、国道289号は車の通りが少なかったため「人が来るか不安だった」と振り返る。だが無用の心配だった。これまでの常連客が新たな店舗に足しげく通ってくれた。

 店は再来年で創業50周年を迎える。来店客のほとんどはリピーターで、保田さんは「今まで支えてくれた常連さんを大切にしたい」と笑みを浮かべる。節目の年を前に、隣接する栃木県に新たな店舗を出店する計画を練っている。新たな道しるべを立て、これからも多くの人の胃袋を満たし続ける。(小山璃子)

お店データ

■住所 西郷村米字西原34の5

■電話 0248・25・5558

■営業時間 午前11時~午後2時30分、午後5時~同7時

■定休日 不定休

■主なメニュー 

▽みつわスペシャル=1150円

▽限定ランチ=850円

▽ラーメン=650円

▽焼き肉定食=1050円

▽灯~あかり~=1200円

 収集の日本画展示

 保田さんは40年前から日本画を集めており、店内に作品が飾られている。ほかには有名バンドグループ「MAN WITH A MISSION(マン・ウィズ・ア・ミッション)」のサイン入りTシャツを展示。保田さんは「ファンから売ってほしいと頼まれる」と笑う。

 NHKラジオ第1「ふくどん!」で毎週木曜に連携企画

 新まち食堂物語は福島民友新聞社とNHK福島放送局の連携企画です。NHKラジオ第1で毎週木曜日に放送される『ふくどん!』(休止の場合あり)のコーナー「どんどんめし」で紹介される予定です。

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