しょうゆの風味と米の甘みを感じられる喜多方市の定番土産「たまりせんべい」。1900年に創業した同市の山中煎餅本舗では職人が炭火で1枚ずつ丁寧に焼き上げている。機械に頼らず、時間と手間をかけて作られている。
同店ではれんが窯で焼き上げる古くからの製法を守り抜いている。職人が毎朝4時前から2時間ほどかけてじっくりと炭に火をおこしていく。その日の気温や湿度、生地の状態を見て焼き加減を調整する、まさに”職人技”。高温の炭火で一気に焼くため、サクサクと軽い食感に仕上がるのが特徴だ。
同店によると、れんが窯を使った炭火焼きの製法は国内で唯一という。他店のように機械による大量生産も一つの方法だが、6代目店主の渡部ひとみさん(47)は「私たちが辞めるとこの製法は途絶えてしまう。技術や伝統を守っていく役割がある」と話す。
同店一番の名物が「喜多方厚焼きたまりせんべい」(5枚入り648円)だ。国産米100%で喜多方の本醸造しょうゆを使用。薄焼きも販売している。ほかにも、喜多方ラーメンのスープで味を付けた「喜多方ラーメンせんべい」(同)や「会津山塩せんべい」(5枚入り729円)などの商品がある。パッケージには喜多方の染型紙「会津型」で染めた色鮮やかなデザインを採用しており、伝統と新しさが掛け合わされたものになっている。
喜多方の伝統も感じられる昔ながらの米菓。店のこだわりも手土産として持ち帰ってみてはいかがだろうか。
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山中煎餅本舗 喜多方市関柴町上高額字北町407の1。店舗や市内の道の駅「喜多の郷」に加え、オンラインでも販売している。店舗では七輪を使った煎餅焼き体験も実施。時間は午前10時半~午後4時半の間で、予約優先。問い合わせは同店(電話0241・22・0614)へ。
