高レベル放射性廃棄物は、数万年以上の長期保存が必要なため、地下深い場所での「地層処分」が現実的だと考えられています。わが国では地層処分する場所は決まっていません。
これまで、北欧のフィンランドやスウェーデンで処分地の建設が進んでいることを紹介しました。 国内で複数の候補地が公募され、地層のデータや文献での調査が行われた後、ボーリング調査(概要調査)が行われ、実際の研究施設を造ってさらに細かく調査(精密調査)する。
このような手順は、世界中で違いこそあれ、それぞれの国でおおよそ同じように進んでいます。日本ではいくつかの市町村で文献調査が行われているのはご存じの通りです。イギリスやドイツは日本と同じような段階で、イギリスでは2022年末までに四つの地域が候補地となり、一つは断念となっています。スイスやカナダでもわが国より少し先の段階で処分地の絞り込みが行われています。
その一方で、処分地の場所が既に決定しているのは、前述のフィンランドとスウェーデンに加えて、フランスがあります。フランスは言わずと知れた原子力大国です。
発電電力全体のうち、石油・石炭・天然ガスを合わせてもその1割に満たないのに対し、約7割が原子力、1割が水力です。パリから東に220キロのビュールという場所に研究所があり、そこが処分予定地となっています。