私の父貞一は1917(大正6)年、奈良県高取町に生まれた。この地域は「大和の薬売り」として有名で、行商人が諸国を巡って得意先に薬を置き、再訪時に使った分の代金を受け取るという商法で栄えた。父も実家が薬屋を営んでいたことから、薬剤師の道を志した。富山薬学専門学校(後の富山大薬学部)を卒業後、製薬会社に勤めたが、戦時色が強まった39年、兵役に就いた。 父が初めて郡山の土を踏んだのは、41年のこと。郡...
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