JR福島駅(福島市)の駅ビル「エスパル福島」にある「タリーズコーヒー&TEA エスパル福島店」店長の保賀雄介さん(29)が、全国約830店舗の社員らがコーヒーの抽出技術や接客を競う「バリスタコンテスト」社員の部で優勝した。昨年4月に同店に異動した保賀さんは「福島での勤務経験があったから優勝できた」と感謝し、喜びをかみしめた。
東京都出身の保賀さんは大学時代にアルバイトとしてタリーズで働き始め、2019年に社員として入社。都内の店舗で勤務していたが、入社6年目で「縁もゆかりもない」福島行きを命じられた。
都会の人混みが苦手だったため、地方への異動に抵抗はなかったが「時間の流れ方が違った」。スピード感重視の営業から一転、客との距離が近い福島。最初は戸惑ったものの、味の紹介や新商品の魅力を伝えることに注力した。元々人と話すことが苦手だったが、居心地のいい時間を過ごしてもらうための接客を考えるようになった。
コンテストは10月13日に都内で開かれ、店舗やエリア選考、全国9ブロックの地区大会を勝ち抜いた出場者が社員とアルバイトの両部門で競い合った。保賀さんは接客販売や飲み物のオペレーション、創作ドリンクの考案・実演などを披露。福島での営業やスタッフとの練習で培った、心からのおもてなしや客との対話を重視する姿勢を十分に発揮できたという。
演技後は充実感でいっぱいだったが、まさか頂点に立つとは夢にも思わなかった。「福島に来たからこそ身に付いたスキルが評価されて本当にうれしい」
今後は”日本一のバリスタ社員がいる店”を背負って店づくりに励む。保賀さんは「いい意味での重圧を力に、賞に恥じないよう技術を磨いていく」と決意を新たにした。
