東日本大震災の津波の影響で多くの住民が転居した楢葉町波倉地区で栽培されたサツマイモを使った芋焼酎「波倉の風」が完成した。4合瓶で約300本を醸造し、関係者に試供品として配布していく。今年は原料のサツマイモの栽培量を倍増して醸造本数を増やし、来年から販売する。
波倉地区の復興に向け、住民有志が「楢葉町波倉地区復興組合」を設立して住民帰還などの取り組みを進めている。営農促進に向け、町特産品のサツマイモを栽培して芋焼酎を売り出す計画を立てた。昨年から芋焼酎に使われる「黄金千貫」を栽培し、笹の川酒造(郡山市)に醸造を委託した。
芋焼酎の販売は、組合が母体となっている株式会社「ナミクラ」が酒類販売免許を取得して担っていく。ナミクラの渡辺晋二社長(組合理事長)と渡辺正純専務が7日、町役場を訪れ、松本幸英町長に完成を報告。渡辺社長は「市販品の芋焼酎と比べても遜色のない味わいだ」とPRした。
松本町長は「地域から町特産品のサツマイモを利用した加工品ができる動きが生まれてうれしく思う」と歓迎した。渡辺社長は「地区ににぎわいをつくれるよう、復興の風を吹かせたい」と意気込んだ。渡辺専務は「芋焼酎を通して波倉地区の復興の起爆剤になってほしい」と語った。