大和ハウスグループの大和ライフネクスト(東京都)は10日、双葉町中野地区に建設中で浜通り最大級の会議室を備えたカンファレンスホテル「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA(ふたたび ふたば ふくしま)」について、開業が来年初夏ごろになると明らかにした。当初は来年3月の予定だったが、工事の影響などで見直した。少なくとも35人を新規雇用し、町内への定住と移住を後押しする方針だ。
ホテルは東日本大震災・原子力災害伝承館や、来年3月に完成予定の県復興祈念公園に隣接する。県は、ホテルを2027年3月11日に実施する計画の震災追悼復興祈念式のメイン会場にする方向で調整している。
会場に想定されるカンファレンスルームは4分割が可能で、四つを合わせた面積は約430平方メートル。客室は98室あり、ツイン、ダブル、トリプル、スイートの各種ルームや太平洋を望む入浴施設、ラウンジを用意。シングルルームはないが、個人宿泊客も受け入れる。
立地の強みを生かし、国際会議の誘致や教育機関などの研修旅行、県の旅行企画「ホープツーリズム」やインバウンド(訪日客)を含む観光客の呼び込みに力を入れていく考えだ。
建物は5階建て、延べ床面積約7000平方メートル。1階のレストランは約100席で、県産食材をふんだんに取り入れたメニューを提供する。県内全域の特産品を集めた土産物店もあり、本県の魅力を幅広く発信。浜通りの文化を体験したり、観覧したりできるよう周辺の観光資源とも連携を図る。具体的にはかわうちワイナリー(川内村)、とみおかワイナリー(富岡町)、ホップジャパン(田村市)などと連携し「酒蔵ツーリズム」の展開を視野に入れる。
併設する円形の共用棟は「ふたばの本棚」と名付け、図書館やカフェが入る。住民らに利用してもらい、旅行客との交流が生まれる機会の創出を目指す。
「浜通りの入り口に」
大和ライフネクスト不動産企画運営部FUTATABI開業準備課・推進担当の練生川(ねりうがわ)裕一総支配人は10日、福島民友新聞社の取材に「浜通りを訪れるお客さまのゲートウエー(入り口)として、地域を伝える間接的なメディアの役割を果たしたい」と意欲を述べた。