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福島を見守り150年、老舗眼鏡店「ヤブウチ」 にぎわいづくりに新たな新風

2025/10/03 08:00

 福島市大町の県庁通りに建つ眼鏡店「オプティカルヤブウチ」が、今年で開業から150年を迎えた。地域に根付き、まちの移り変わりを見守ってきた老舗店。最近では店が入るビルを起点にした地域づくりに取り組み、4、5日には節目を記念したイベントも開く。5代目の藪内義久さん(46)は「楽しくにぎわうまちにしたい」と、新たな風を吹き込んでいる。

 店は1875(明治8)年、「藪内時計店」として商いを始めた。店のシンボルは、屋根にそびえ立つ時計台。3代目からは「まちの眼鏡屋さん」として長く地域に愛されてきた。なぜ1世紀半もの間、歴史を紡ぐことができたのか。「時代の変化に対応する柔軟性があったんでしょうね」と藪内さん。3代目は時計だけでなく眼鏡にも取り扱いを拡大。4代目の父一弘さん(77)は将来を見据え、借金を抱えながらも店内を改装した。当時仕入れた外国メーカーの眼鏡は全く売れなかったが、今では人気商品の一つだ。

 5代目はまちづくりに挑戦する。進学や就職、留学などを経て地元にUターンした藪内さん。店が入る「ニューヤブウチビル」の改装を自ら手がけ、テナント誘致も始めた。レコード店や飲食店、生花店などが入ると、次第に人が集まるように。藪内さんは「店を巡ってもらうことで、ビルにストーリーが生まれた」と手応えを話す。昨年には、県庁通りを挟んで向かい側に建つ「ノノトリビル」のオーナーとなり、周辺一体となったにぎわいづくりを仕掛けている。

 現在、JR福島駅前では再開発事業が進められているが、市街地活性化への道のりは遠い。それでも、駅前から約700メートルにあるビルから周辺の商店街にもにぎわいが波及することを期待する。「1店で頑張っても限界がある。魅力的な店を集めて、お客さんが店を巡ることで新たな交流や文化が生まれてほしい」。店とともに、まちの変革に挑む。

 4~5日、ホコ天イベント

 4、5日のイベント「COMES AROUND(カムズ アラウンド)」では、食やアートで地域の魅力を再発見する。ニューヤブウチビルとノノトリビルを会場に、飲食物や漢方、雑貨などを販売する35店が出店する。ビル前の県庁通りは歩行者天国になる。

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