• X
  • facebook
  • line

太陽光パネル再資源化、プラ強化用グラスファイバーに 日東紡、日本初の技術開発

2025/10/30 09:15

 日東紡(福島市)は29日、廃棄される太陽光発電パネルのカバーガラスを再利用し、プラスチック強化に用いるグラスファイバーへの資源化に成功したと発表した。同社によると、グラスファイバーに特化した太陽光パネルのリサイクルは日本で初めて。今後、パネルの大量廃棄が見込まれる中、グラスファイバーが新たなリサイクルの受け皿になることが期待される。

 スマホ、自動車活用想定

 同社の環境貢献商品開発の一環。現時点では試作段階のため、今後、顧客などからの評価を得て用途の開拓を進める。同社によると、2030年代後半以降に大量のパネルが寿命を迎え、年間数十万トン単位での廃棄が見込まれる。パネルは産業廃棄物として埋め立て処理されるため、深刻な環境負荷が懸念されている。

 このうち、カバーガラスはパネル重量の約6割を占める。板ガラスや綿状のガラス繊維「グラスウール」への再利用化も進められているが、成分比率などから限りがあるという。試作の成功で別の再利用資源として活用が見込まれるほか、新たなグラスファイバー製造の原料節減や温室効果ガス排出削減にもつながる。

 福島市郷野目の福島事業センター(旧福島工場)で試作した。高温で溶かしたカバーガラスを繊維化することで、グラスファイバーに再資源化する。通常の断面が丸いグラスファイバーだけでなく、断面が長円形で成形品の強度が増す同社の独自製品「フラットファイバー」にも対応できる。スマートフォンの外装や自動車部材などへの活用を想定しているという。同社は、こうした商品開発を通じ「サステナブル(持続可能)な社会の構築に貢献していく」としている。

 リサイクルグラスファイバーは、11月12~14日に千葉市で開催される高機能素材の展示会に出展される。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line