福島銀行が11日発表した2025年9月中間連結決算は、純損益が1億5600万円の黒字(前年同期は9億5100万円の赤字)に回復した。黒字は2年ぶり。日銀の政策金利上昇に伴い貸出金利息や有価証券利息配当金が収益を押し上げ、次世代バンキングシステムの更改で膨らんでいた人件費などの経費が減少した。
売上高に当たる経常収益は71億9900万円(前年同期比9.0%増)、経常損益は1億600万円の黒字(前年同期は6億4600万円の赤字)の増収増益だった。
銀行単体の私募債を含む総貸出残高は前年同期から11億円減少の6140億円。事業性貸し出しは新型コロナ関連融資の返済が進んで減少したが、住宅ローンは多様な商品展開で過去最高を更新し、2122億円(前年同期比60億円増)を計上した。
有価証券残高は同115億円増の1663億円となったが、80億円の評価損が発生している。金利上昇の影響で国内債の評価損が拡大。株価は高騰しているがリスクを案じ、資産構成割合を見直さずに引き続き債券中心の運用を続ける。
本業の利益を示す銀行単体のコア業務純益(投資信託解約損益を除く)は3億7700万円(同74億円減)。連結の自己資本比率は9.26%(同1.02ポイント増)で、国内基準の4%を上回る水準を確保した。
福島市の本店で会見した鈴木岳伯(たけのり)社長は赤字からのV字回復に一定の評価を示した一方、「金利のある世界は変化が大きい。中期経営計画の下、新システムを活用した効率化や対面営業の強化で収益力の向上に努める」と述べた。
