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【新まち食堂物語】ラーメン菜館えちご家・西会津町 〝町の味〟みそラーメン

2025/11/16 12:20

  • 動画付き
料理を盛り付ける古俣さん。「新しいみそが見つかれば使ってみる」と納得の味を追求している
客のほとんどが注文するという「みそラーメン」

 西会津町のご当地グルメの一つに、みそラーメンがある。濃厚なスープで煮込んだひき肉と野菜がたっぷり盛られているのが特徴だ。中でも「ラーメン菜館 えちご家」は、町内にみそラーメンを広めた店主古俣卯佐利(うさとし)さん(73)が切り盛りしており、連日長蛇の列を成している。

 JR野沢駅から2分ほど歩くと、入り口に掲げられた赤いのぼりと木製の看板が見えてくる。名物の「みそラーメン」は客の9割が注文するほど。半チャーハンやソースカツ丼なども人気で「ランチ時のご飯ものは大変だけど、会津の味を知ってもらえるのはうれしいね」と古俣さんは笑顔を見せる。

 18歳のころ、父親が西会津町の国道49号沿いで開業予定のドライブインを手伝うため、会津若松市の中華料理店で1年間の修業を積んだ。そこで一番人気だったのが、炒めた野菜とひき肉がたっぷり盛り付けられたみそラーメン。その味に感銘を受け、1971年に開業して働き始めたドライブインでもメニューに並べた。その後、店は弟に譲り、自身は結婚を機に廃品回収業などの家業を継いだ。しかし、将来のことを考え「せっかくなら中華料理店での経験を生かそう」と心機一転。95年にえちご家をオープンした。

 今は4種を調合

 一番のお薦めはみそラーメン。「会津味噌(みそ)ラーメン」と名付けて売り出したところ、それが大当たりし、徐々に定着していった。人気のさらなる火付け役となったのが、一人の男性が発した「町おこしに使える」の一言だった。店の味にほれ込んだ男性と古俣さんが中心となり、2008年に「会津野沢宿味噌ラーメン会」を発足。本格的に”町の味”として浸透していった。当時、札幌みそラーメンが全国的に大流行していたのも、普及拡大を後押ししたという。

 開店から30年。みそラーメンは当時から変わらぬ人気を誇る。最初は1種類だったみそも、今では4種類を調合している。「新しいみそが見つかれば使ってみる。進化しないとお客さんに飽きられちゃうからね」。知名度だけではなく、常に納得のいく味を追求する姿勢も、人気を支える要因の一つだ。

 客層を見て調整

 店内はテーブル席と座敷席があり、15人ほどで満席になる。こぢんまりとしているが、そこにも古俣さんなりのこだわりがある。調理場から全席を見渡せる構造で、客層を見て麺の硬さや味の濃さを調整している。「こう見えてね、考えて調理しているんだよ」とニヤリ。客の表情が見えるのもやりがいにつながっており「おいしいね」と話す様子や一口食べて「うんうん」とうなずく姿を見ると、調理場で一人ほほ笑んでいるという。

 年齢を重ね、体も言うことを聞かなくなってきた。調理は全て一人で担当しており、調理場では時折手をついて休む時もある。それでも「体が動く限りは『えちご家』を守りたい」と古俣さん。「わざわざ来てくれる客を喜ばせたい」。その一心で、重たい中華鍋を目いっぱい振るう。

お店データ

■住所 西会津町野沢字上原乙2431の1

■電話 0241・45・3248

■営業時間 午前11時~午後2時半 ※スープがなくなり次第終了

■定休日 木曜日(不定休あり)

■主なメニュー
 ▽みそラーメン=800円
 ▽坦担メン=900円
 ▽ソースカツ丼=1050円
 ▽チャーハン=850円
 (半チャーハン=500円)
 ▽カレーライス=750円

 土産用も人気上々

 レジ横では、店の味を自宅でも食べられる土産用のみそラーメンを販売している。特製スープ付き4人前で1100円。「売れ行きは上々だね」と古俣卯佐利さん。自分で食べてもよし、土産として贈ってもよし。えちご家の味を多くの人に知ってもらおうとしている。

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