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福島県内、インフルエンザ高止まり 医療機関は対策に奔走…コロナと同時流行警戒

2025/12/04 08:40

発熱外来を受診した患者に検査結果を伝える新村院長(右)ら病院スタッフ=いわき市・常磐病院

 福島県内でインフルエンザが猛威を振るっている。県が3日発表した感染者数は前週に次いで過去10年で2番目に多い数字となり、高止まりの状況が続いている。現場の医療機関では感染拡大を防ごうと、新型コロナウイルス時の経験を生かすなどして対策に奔走している。

 常磐病院(いわき市)の発熱外来棟前の駐車場に2日午前11時ごろ、2台の車が止まった。いずれも発熱があり、受診したという。「インフルエンザもコロナも(陽性)反応は出ませんでした」。新村浩明院長(57)は患者に検査結果を告げたが、インフルエンザ感染の疑いが高い患者も多い。

 新型コロナの拡大を契機に全国の医療機関に設けられた発熱外来。感染拡大を防ぐべく常磐病院では予約制を取り、1日当たり20人ほどの来院者を原則、車に乗ったまま診察している。インフルエンザの感染者が増え始めた10月以降はほぼ毎日、予約上限に達している。

 風邪などの症状があり、検査をすると「8割は陽性」と新村院長。同病院でも11月、看護師の子どもを起点に、看護師や入院患者に感染が広がった。大規模な拡大とはならなかったが流行期を痛感させられた。

 11月17~23日の1週間に定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が131.78人に上り、過去10年間で最も多くなったいわき市。常磐病院では発熱外来への問い合わせが増え、負担が増している。ただ、市医師会副会長も務める新村院長は「薬が足りないなど市内で対応が間に合わないという状況は聞かない」とし、「これまでのインフルエンザやコロナへの対応で「各病院ごとにマニュアルが培われている」と語る。

 ただ、新村院長は今後も感染が拡大するようであれば発熱外来の診療枠を増やす可能性を示唆する。警戒するのは、新型コロナウイルス感染症との同時流行。インフルエンザは若年層に多く、入院するケースは少ないが、重症化リスクが高い高齢者などに感染が広がった場合、入院病床の逼迫(ひっぱく)が懸念される。新村院長は、「ワクチンの接種やマスク着用などの対応を徹底してほしい」と呼びかけた。

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