岡山大や国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)のチームが、臓器移植に使う心臓に特殊な液体を循環させ保存する「機械かん流保存」の装置の開発を始めることが1日、分かった。既存の方法よりも長い時間、心臓の機能を保つことができ、摘出から移植までの時間を延ばせる。2028年度の臨床試験(治験)開始を目指しており、実用化すれば国内初となる。
国内では、提供者(ドナー)がいても、移植を担う医療機関の受け入れ態勢が整わないことを理由に手術が見送られるケースが少なくない。かん流保存が実現すれば、手術の開始時間をより柔軟に設定できるほか、遠方の患者に心臓を送ることができ、手術数の増加につながる可能性がある。
研究代表者の小谷恭弘岡山大准教授(心臓移植)は「使われない心臓を一つでも減らし患者に届けたい」と話している。
国内では摘出した臓器を保存液に浸し、クーラーボックスに入れて冷やして運ぶ「単純冷却保存」が主流で、心臓の場合は4時間以内の移植が理想とされる。かん流保存は移植までの時間を8時間程度に延ばすことができる。