財務省は2日、10年物国債の入札で表面利率を年1・7%にした。3日に発行する。7~9月の1・5%から引き上げ、2008年7月以来、約17年ぶりの高水準。国債市場では日銀の早期利上げ観測などから長期金利が上昇傾向にあり、実勢金利に近づけた。
国債は国が借金するために発行する債券で、10年債は元本が返済されるまでの期間が10年のもの。表面利率は国債の買い手に支払う利子の割合を示す。金利の上昇は国債の利払い費増加につながり、政府にとっては政策経費を圧迫するリスクが大きくなる。
新たな国債の表面利率が市場金利より低いと、落札額が額面を下回る可能性がある。そのため、財務省は新しく売り出す国債の利率を原則3カ月に1度見直している。
日銀が9月19日に開いた金融政策決定会合で、2人の政策委員が0・75%程度への利上げを提案したことなどから、市場では10月の次回会合以降に日銀が利上げするとの思惑が広がっている。衆参両院で少数与党になり、財政拡張路線への警戒が強まっていることも長期金利上昇の背景にある。